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巨匠チャン・イーモウが挑むスパイ・サスペンス映画『崖上のスパイ』、監督インタビュー&豪雪撮影メイキング写真到着

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チャン・イーモウ

チャン・イー

<チャン・イーモウ監督オフィシャルインタビュー>

――『崖上のスパイ』で伝えたかったことは何でしょうか?

 『崖上のスパイ』は、4人のスパイが飛行機から地上に降り立ち、敵の罠にはまるという物語です。主に語っているのは「生き残ろうとする」「生きていく」というテーマ。この視点が面白く、多くのスパイ映画とは違う点だと思います。私はこうした「困難な状況の中であがく」という無力感や運命的な感じが好きなのです。どんな時代も、名も無き人々の物語は魅力的です。他者を救うための自己犠牲は、いつも人を感動させます。

――キャスティングで一番大事にしている点は?

 私が演技に対して一番に求めるのは「偽りがなく、自然である」ことです。新人俳優は現場での経験が少ないので、滲み出るぎこちなさや自然さをメラが捕らえた時、自然な演技だと観客に感じてもらえます。

――この映画では終始雪が降っています。雪へのこだわりを教えてください。

 「ずっと雪が降っている」のは、「ずっと雨が降っている」よりも厄介です。まず、いい造雪機や雪を作るのに適した材料を探さなければいけませんでした。雪の材料は分解される環境に優しいもので、俳優の顔にかかっても害がなく、地面を汚染せず、数日で解けて自然環境を破壊しないものでないといけません。ウィンタースポーツの造雪設備と少し似ていますが、雪片はカメラで撮れるように大きく作る必要があります。

――スパイ・チームを監視する特務警察のエースである周乙(ジョウ・イー)の孤高のたたずまいが高倉健さんに見えました。周乙(ジョウ・イー)は複雑な立場にありますが、演じたユー・ホーウェイと一緒にどのようにこのキャラクターを作り上げたのでしょう?

 若かりし頃のアイドルである高倉健さんとは『単騎、千里を走る。』でお仕事をご一緒したことがあります。私にとって生涯忘れられない経験で、今でも高倉健さんのことを懐かしく思い出します。1970年代から80年代にかけて、「高倉健」の3文字は、中国の芸能界において、ある種の演技スタイルの代名詞でした。

 周乙(ジョウ・イー)を演じたユー・ホーウェイも高倉健さんのことがとても好きで、彼と周乙(ジョウ・イー)という役の演技スタイルについて話し合っている時、図らずも、周乙(ジョウ・イー)という役柄には、見た目から演技まで高倉健さんの面影があると気づきました。孤独で、想いを内に秘め、感情を表に出さず、毅然としていて、落ち着いている。人を形容する中国の古い言葉に、「立てば松の如く、座すれば釣鐘の如く、歩けば風の如く、臥すれば弓の如く」という言い方がありますが、まさにこのようなタイプの男性のことでしょう。

 周乙(ジョウ・イー)に少しでも高倉健さんの面影を蘇らせることができたとすれば、それは私の高倉健さんを偲ぶ敬愛の念だと見なしてください。

――本作は監督の作品の中で最大の興行成績を収めたと伺っています。チャン監督は中国の映画業界を牽引してきた存在ですが、今後の中国映画界におけるご自身の役割をどのように考えていますか?

 中国には若い監督が大勢いて、大ヒットする映画を撮り、興行収入でも大きな成績を収めています。これはいい現象です。コロナ禍後はなおさら、観客に映画館へ戻ってきてもらわなければ映画は発展し続けられません。私は商業性を拒絶したことはありません。中国の文化では、「雅俗共賞」(教養のある人も一般大衆も共に楽しめる)が芸術において最高の境地だと考えられています。作家主義的で個人的なアートフィルムももちろん必要ですが、映画産業という視点から言えば、マイナーなアートフィルムもメジャーな市場が支える必要がある。映画祭で上映されるだけで、映画館に見に行く人がいなければ、映画は生き残れませんからね。

 私がいつも考えているのは、次世代を担う若い監督は、マルチな能力を鍛えるべきです。マイナーな作品もメジャーな作品も撮れる人こそが名監督だと思います。たった1つの味わいでは満足できないのですから、排他的になってはいけない。中国では「百花斉放」(文化・芸術活動が自由かつ活発に行なわれること)という言葉がよく使われますが、私はずっと若い監督が大胆に新しいものを作っていくことを応援しています。

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