アカデミー賞、アンドレア・ライズボローのノミネートは取り消さない キャンペーン活動に懸念で調査

『To Leslie(原題)』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたアンドレア・ライズボロー。賞を主催する映画芸術科学アカデミーは先週、今年度の候補者のキャンペーン手順に懸念があり調査すると発表し、名指しはされなかったものの、低予算映画で、限定公開しかされていなかった『To Leslie』のアンドレアがその対象ではないかとみられていた。今回その調査結果が発表され、アンドレアのノミネーションを取り消さないことを明らかにした。
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通常アカデミー賞にノミネートされるには、投票者であるアカデミー会員により多く視聴してもらうため、巨額の予算を投じてキャンペーンが行われるが、『To Leslie』はインディーズ映画でその予算がなかったことから、草の根活動でキャンペーンを展開。映画を観たセレブたちが、SNSでアンドレイの演技を絶賛する投稿をしたり、映画の上映会を開催したりして情報を広めた結果、オスカーの候補入りに一役買ったとされるが、このSNSキャンペーンの中で、ルール違反があったのではないかと疑われたそうだ。
特に問題視されたのは、映画の公式インスタグラムがアップした1つの投稿(すでに削除済み)。『シカゴ・サン・タイムズ』誌のレビュー記事を引用したもので、同じく主演女優賞候補のケイト・ブランシェット(『Tar/ター』)を引き合いに出して、アンドレアの演技を絶賛していたという。これが競合相手を攻撃してはいけないという規則に抵触したのではないかとみられている。
Varietyによると、この件でアカデミーは1月31日(現地時間)に理事会で審議を行い、結論を発表した。「先週『To Leslie』のキャンペーンに関する懸念が表面化したことをうけ、アカデミーは同作品のキャンペーン戦術について調査を開始しました。アカデミーでは、問題とされた行為はノミネート取り消しに至るほどのものではないと判断しました。しかしながら、ソーシャルメディアや普及キャンペーン戦術に懸念があったことが判明しました」と述べているそう。
また、「アカデミーのキャンペーン規則は、フェアで倫理的に賞の審査を行うことを文句としています。これこそアカデミーの本質的価値です。この調査を経て、敬意と包括性、公正なキャンペーンを行うために、規則を明確にする必要がある事が明らかになりました。今年の授賞式後にルールの改定を行い、会員に通達します。アカデミーでは、候補対象となる映画や功績に対し、芸術面、技術面のみを判断材料として投票するような環境づくりを進めて参る所存です」と締めくくったという。
なお、この騒動を巡っては、アンドレアのノミネートが取り消される可能性があることに、共演者のマーク・マロンが抗議声明を出したほか、クリスティーナ・リッチも「キャンペーンを行う余裕のある映画や俳優だけが評価に値するということ?」とSNSで批判(現在は削除)するなど、業界関係者からも不満の声が挙がっていた。
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