『スーパーマン』キスシーン、インド政府の検閲によりカット 業界やファンから反発
世界で大ヒットを記録中のジェームズ・ガン監督による映画『スーパーマン』。インドでは、クラーク・ケントとロイス・レインのキスシーンが、「過度に官能的」としてカットされてしまった。映画業界やファンから批判の声が上がっているようだ。
【動画】新『スーパーマン』本予告
Varietyによると、カットされたのは、クラーク・ケントとロイス・レインの33秒間に及ぶ空中キスなど、2か所。現地時間7月7日に、インドの映画認可中央委員会(CBFC)が、13歳以上が視聴できる「UA」にレイティングするにあたり、削除の判断を下したそうだ。これに対し、一貫性のない保守的な検閲行為であると、非難の声が上がっている。
Prime Videoのドラマ『ファミリー・マン』などに出演する俳優のシュレヤ・ダンワンサリーは、X(旧ツイッター)にて、「これが事実なら、馬鹿げた話だ!!! 毎日こんなことが起きている。毎日だ。もちろん、これは私達の懸念のうちでは些細なものだが、どうにかならないものか。馬鹿げたことが毎日起きてる。毎日だ」と非難。
デジタルクリエイターのアモル・ジャムワルはXで、「『Housefull 5(原題)』では、卑猥なことを示唆するジョークが登場するし、『JAAT』では斬首や残酷な暴力シーンがある。…なのにスーパーマンがロイス・レインにキスをするのは、限度を超えているというのか」と綴り、CBFCの判断の一貫性のなさを指摘。
ファンからも、「CBFCは、子どもが自由に見られるU指定の映画では、恐ろしい暴力シーンや性的暴行が描かれるのに、大人の指導のもと子どもが鑑賞できるUA指定のヒーロー映画では、合意の上でのキスが許されない」と指摘する声が上がっている。
なおインドでは最近も、『F1(R)/エフワン』で、中指を立てる絵文字を拳に変更、『サンダーボルツ*』では、罵る言葉の音声を消して公開されたそう。2021年に映画認可上訴裁判所が解散したため、現状CBFCの判断に不服を訴えるには、インド高等裁判所に訴え出るしか方法がなく、スタジオとしては負担が大きいようだ。CBFCによる、こうした判断が続いたことで、表現の自由と、映画法を根拠とするCBFCの権限について、議論が巻き起こっているという。