「愛すべき兄は、悪魔か――」台湾発、美しき兄弟のスリリングな恐怖描く『ピアス 刺心』予告&場面写真公開
フェンシングを題材にした心理スリラー映画『ピアス 刺心』より、予告編と場面写真9点が解禁。併せて、ダブル主演で美しき兄弟を熱演した台湾の新星リウ・シウフーと若手実力派ツァオ・ヨウニンからのコメントが到着した。
【写真】心理スリラー映画『ピアス 刺心』場面写真
本作は、シンガポールのフェンシング代表として活躍した異色の経歴をもち、短編映画『Freeze』が世界70を超える映画祭で上映された若き俊英ネリシア・ロウが、台湾で実際に起きた事件と自身の兄との家族関係に着想を得て贈る、フェンシングを題材にした心理スリラー。撮影監督を、世界的な注目を集めているミハウ・ディメク(『EO イーオー』『ガール・ウィズ・ニードル』)が務め、幻想的で洗練された美しい映像で悪夢のような結末へ導く。
フェンシングの試合中に対戦相手を刺殺し、少年刑務所から7年ぶりに出所した兄ジーハンと、疎遠になっていた弟ジージエが再会。「事故だ」という兄の言葉を信じて、ジーハンを警戒する母の目を盗み、兄からフェンシングの指導を受けるジージエ。自身も気づかなかった友人への甘酸っぱい想いを後押ししてもらい、ふたりは兄弟の時間を取り戻していく。しかし一方で、幼き日の溺れた記憶がよぎる。あの時、なぜ兄はすぐに手を差し伸べなかったのか。「僕が死ねばいいと思ってた?」という疑念が深まるなか、悪夢のような事件が起こる――。
健気で純度の高い瞳のジージエを瑞々しく演じたのは、台湾の若手実力派俳優リウ・シウフー。本作でローマ・アジア映画祭最優秀男優賞を受賞、台北映画賞で最優秀新人男優賞にノミネートされた。
日本公開にあたり、リウ・シウフーは「日本にはこれまで3度、旅行で行ったことがあります。東京と京都に行きました。そんな日本で公開されることを嬉しく思います。愛にはさまざまな可能性があるということを見つめた映画です。“愛とは何か?”という問いには、いろんな解釈の仕方があります。1つの方法で世界を理解することに慣れてしまっては、少しもったいない。いろいろな愛の形を知ってほしいです」とコメント。
傲慢な兄ジーハンを演じたツァオ・ヨウニンは「『ピアス 刺心』は愛についての映画です。愛には余白が必要です。正解も間違いもない。だから柔軟に、相手を理解しようとする姿勢が大切です。時には自意識を手放すことも必要ですよね。人は誰でも自分を中心に考えがちですが、少し距離を置いて客観的に見ることで、親しい人に対しても、何か物事に向き合う時も、新しい理解が生まれると思います」と語っている。
予告編は、フェンシングの大会で対戦相手を刺殺する事件を起こした兄・ジーハンが、7年ぶりに弟・ジージエの前に姿を現すところから始まる。彫刻のように美しい顔立ちの兄と、潤んだ瞳の純粋無垢な弟。兄弟は離れていた時間を取り戻すように打ち解けていく。
しかし母は「あなたは利用されている」と訴え、ふたりを引き裂こうとする。「あれは事故だ」という兄の言葉を信じるジージエだったが、ジーハンの心に潜む闇が徐々にあらわになる。そして思い起こされる、幼き日に川で溺れた記憶。手を差し伸べず、弟を見下ろす兄は何を思っていたのか。ついにジージエは兄に「…僕が死ねばいいと?」と疑念を突きつける。最愛の弟からの不信に、混乱し顔を歪ませるジーハン。「愛すべき兄は、悪魔か――」。悪夢のような結末へ向かってゆく兄弟を、撮影監督ミハウ・ディメクによる美しい映像で紡ぐ、悲哀に満ちた予告となっている。
場面写真は9点。壊れたひとつの傘を寄り添ってさす兄弟が驚いた表情を見せるカットや、一瞬の駆け引きや瞬発力が問われるフェンシングのスピード感あふれる瞬間。そして、感情を失ったかのように冷淡な視線で見下ろすジーハン、試合会場で慌てふためく人々の中で何かを見据えるジージエ、夜の庭でフェンシングを練習する兄弟、料理を囲む円卓で強張った表情のジーハンを見つめるジージエと母。さらに、深紅のベルベットのカーテンを背景に血のついた服で立ち尽くすジージエの不穏な姿、ジージエが心を許した友人と見つめ合うシーン、強い意志を持った母の眼差しなどが収められている。
また、映像分野における「次世代の巨匠」を育成することを目的とした「タレンツ・トーキョー」のプレイベントとして、タレンツ修了生作品の特別上映会を11月8~9日に東京都写真美術館ホールにて開催。この度、2020修了生であるネリシア・ロウ監督が来日し、『ピアス 刺心』が公開に先立ち先行上映されることも決定した。
映画『ピアス 刺心』は、12月5日より全国公開。
キャストのコメント全文は以下の通り。

