シアーシャ・ローナン、自身もアルコール依存症だったと語る 最新作で依存症から立ち直ろうとする生物学者役
■金子由里奈(映画監督)
映画を観たあと窓を開けると、近所の木から知らない鳥が飛び立った。いろんな音が耳に入ってくる。生き物の気配、街のざわめき、渡り鳥の記憶。地球の音は、いつもひとりを寿いでいることに気づかせてくれる映画だった。
■山崎まどか(コラムニスト)
シアーシャ・ローナンの演じるヒロインはいつも翼を持っている。打ちのめされても地上に安住するのではなく、もう一度飛び立つために再生を求めて厳しい環境で身を清め、鳥の声に希望を探す。それが翼を持つものの定めなのだ。
■信田さよ子(公認心理師・臨床心理士)
女性とアルコール依存症、そして回復。ともすれば残酷で悲惨さだけが強調されがちなテーマだが、本作は違う。お酒をやめ続けることがどれほど困難かをリアルに描きながら、それでも画面から伝わってくるのはすがすがしいまでの美しさと深い感動である。
■杉野希妃(俳優・監督・プロデューサー)
シアーシャ・ローナンは、ここで演じるのではない。未完成の生が、恐ろしいほど生々しくそこにあった。彼女はやがて自然の息づきとなり、風を呼び、海を震わせ、風景の奥底に沈んでいたリズムを呼び覚ます。その融和の先に置かれた、物語終盤のささやかな贈り物が、静かに心を揺さぶる。

