山田涼介主演で「このミス」文庫グランプリ『一次元の挿し木』実写ドラマ化! 7月期放送
■原作者・松下龍之介
原作者の松下龍之介です。はじめに、今回のドラマ化に際し、ご尽力くださった関係者の皆様、そして主演の山田涼介さんをはじめとする出演者の皆様に、心より感謝申し上げます。
このコメントを書くにあたり、これまでのことを色々と思い返していました。『一次元の挿し木』は僕のデビュー作です。執筆中は小説を書いていることを誰にも打ち明けてこなかったので、『一次元の挿し木』の世界や、そこに登場する人物たちを知っているのは、宝島社の『このミス』大賞に応募した2024年5月31日までは、宇宙で僕一人だけでした。なので、受賞後に編集者さんの口から『悠』や『紫陽』『唯』『牛尾』などの登場人物の名前が出てくるたびに、なんだか自分の脳みそを直に触られているようなむずがゆさを覚えました。それ以降も、この作品の世界や人物に多くの読者の方が共鳴し、共感してくださっていることに深く感謝しながらも、その一方で、僕だけが知っていた友人たちを誰かに紹介してしまったような寂しさ、加えて、自分の魂を切り売りしてしまったような罪悪感を覚えることもありました。ドラマ化のお話をいただいたのは、まさに僕自身が、そうした変化との向き合い方をまだ模索しているさなかでした。
作者の理解が追いつかないほどの速度で、『一次元の挿し木』の根が次元を跨いで広がっていくことに戸惑いながらも、実際にお会いした制作陣の皆様が、この作品を真摯に読み込み、情熱をもって向き合ってくださっている姿を見て、少しずつ、「この作品はすでに僕だけのものではない」という意識も芽生えました。最近では、読んでくださった方、そしてこれから観てくださる方の頭の中に生まれるそれぞれの『一次元の挿し木』を尊重することが、プロ作家としてのあり方なのかもしれない、と思うようにもなっています。まだ、その覚悟ができているか自信はないですが。
原作者として、そして一視聴者として、ドラマ『一次元の挿し木』を楽しみにしております。何卒よろしくお願い申し上げます。

