「3Dプリンティング」どこまで進んでる? 最新技術の現状に突撃

最近ではビートたけしの描いたリンゴが実物となるCMが印象的だった3Dプリンティング。「でも実際どうなの!?」「本当にそんなできるの?」と半信半疑の人も多いのでは?そこで、現在開催中の「3Dプリンティングの世界にようこそ! ‐ここまで来た!驚きの技術と活用‐」展(印刷博物館 P&Pギャラリー)へ潜入してみた。
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会場へ入ると、一昔前のブラウン管テレビを思わせる大きさの3Dプリンタと、3Dプリンティングで生み出された出力物がズラリ。素材で言えばゴムや金属、プラスチック、木のような質感のもの、出力物はフィギュアに義足、楽器にアクセサリー、置き物、工具、そしてなぜか土偶までと、なんだか取りとめのない雑貨屋みたいでもある。
実際に出力物を手にしてみると(※展示物の多くは手にすることが可能)、フルートは吹けば音を奏でるし、フィギュアは非常に細かい部分まで作り込まれており、ゴム底の質感はゴムそのもの、異様な存在感を放つ土偶はずっしりと重く、3Dプリンティング展にも関わらず太古のロマンへ誘った。どれも但し書きがなければ、3Dプリンタで生み出されたものとは全く思えない。思った以上に進んでいる最新技術に驚愕だ。
「現在は月に3Dプリンタを持ち込んで、月面の砂を素材に基地を作ることができないか――そうすれば建設用の素材をわざわざ地球から運んでいかなくてもいいですし、そういったプロジェクトがNASAやヨーロッパの宇宙研究機関で具体的に進んでいるそうです」。そんな夢のある話を教えてくれたのは、今回の展示を主催する凸版印刷株式会社の情報コミュニケーション事業本部の永山光介氏。
3Dプリンティングはこのように困難な場所での建設を可能にしたり、義足であれば本来コストの掛かる金型が必要で変更がきかない難点があったが、それが3Dデザインの少しの変更だけで可能になるなど、製造、医療、教育、文化財保護など様々な分野で多くの可能性を秘めている。
プリンタがまだ大型で高額、出力に時間が掛かるなど課題も少なくない3Dプリンティングだが、技術の進歩は想像以上に早く、そして今も進んでいる。3Dプリンティングが持つ夢と可能性を表すようにズシリと重い土偶を手に、“未来の技術”にこの展示で触れてみるのも一興だ。
「3Dプリンティングの世界にようこそ! ‐ここまで来た!驚きの技術と活用‐」展は印刷博物館 P&Pギャラリーにて6月1日まで開催中。