手塚治虫の未完アニメ、息子・手塚眞が完成「父の作品でもあり、自分の作品でもある」

関連 :
5日、手塚治虫氏の構想によるアートアニメーション『森の伝説 第二章』完成記念トークイベントが横浜みなとみらい・ブリリア ショートショート シアターで行われ、父の遺志を受け継ぎ本作の製作に携わったヴィジュアリストの手塚眞が登壇。父が遺した壮大なアニメの世界への挑戦を熱く語った。
【関連】『森の伝説 第二章』完成記念トークイベント<フォトギャラリー>
『森の伝説』は、手塚治虫氏がチャイコフスキー交響曲第四番の調べに乗せ、全四楽章それぞれのエピソードを完成させるべく構想を温めていたアートアニメーション作品。第一楽章・第四楽章を完成させながらも、同氏の死によって未完のまま封印されていたが、今回、息子の手塚眞の手によって「第二楽章」を完成させた。
六年の歳月をかけて、ようやくこの日を迎えた手塚眞は、「父の作品でもあり、自分の作品でもあり、複雑な心境ではありますが、今日こうして一般公開の日を迎えることができてうれしい」と喜びの表情を浮かべた。
難航を極めた製作については、「この作品は、漫画の原作ありきではなく、父の頭の中だけに組み込まれていたものなので、第一楽章から第四楽章まで、物語はつながっておらず、それぞれが別物。本当に作りたかったものは予測でしかないのですが、今回は、物語を生かしながらも、手塚治虫でもなく、父の敬愛していたウォルト・ディズニーでもない、私のオリジナルで作り上げました」と強調した。
なお、本作は、第15回広島国際アニメーションフェスティバルのワールドプレミアで一度上映されたが、一般劇場公開としては今回が初日。また、同シアターでは、今月14日まで「手塚治虫 アートアニメーション特集上映」と題して、完成したばかりの『森の伝説 第二章』をはじめ、第一章、第四章、さらには秘蔵のアニメ全10作品が上映されている。