渡辺謙&佐藤浩市 “忘れてはいけないこと”描く『Fukushima 50』への思い

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俳優の渡辺謙と佐藤浩市が17日、都内で行われた映画『Fukushima 50』のクランクアップ会見に出席。作品に込めた熱い思いを語った。
【写真】渡辺謙&佐藤浩市が出席 映画『Fukushima 50』クランクアップ会見
福島第一原発事故に対応した人々たちを綴った門田隆将のノンフィクション『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』(角川書店刊)を映画『沈まぬ太陽』(2009)の若松節朗監督の手により映画化された本作。未曽有の危機にさらされた現場に残り、事故と戦い続けた名もなき作業員たちの思いを描く。
福島第一原発1・2号機の当直長だった伊崎利夫を演じた佐藤は「人間は忘れなければ生きていけないことと、絶対忘れてはいけないことがある。この映画は絶対に忘れてはいけないことを描いています」と語ると、役柄を通して“忘れてはいけないこと”をどう伝えるのかという強い思いで作品に挑んだという。
福島第一原発所長・吉田昌郎役の渡辺も「非常にハードルの高い作品」という認識を持っていたことを明かすと、映画『沈まぬ太陽』でタッグを組んだチームのチャレンジだということが出演への大きな後押しとなったと語る。それでも、渡辺が演じた吉田という役については「どうやったらこの作品をエンターテインメントとして提示できるか」という疑問が生じ、オファーを受けるのには大きなためらいもあったという。
そんななか、佐藤演じる伊崎という人物を中心とした人間ドラマが作品の核となり、そこに吉田が要素として絡んでくるというストーリーラインには大いに納得したという渡辺。「そういう展開なら、エンターテイメントとして表現できると思ったんです。その役を演じるのが佐藤浩市という素晴らしい俳優。僕はそこを頼りに演じればいい。一歩を踏み出すことができました」と振り返っていた。
佐藤と渡辺は映画『許されざる者』(2013)以来、約6年ぶりの共演となる。佐藤は「本当に信頼できる先輩なのですが、年齢は1つしか違わないんです。でも彼には風格が漂っていて、こういう題材の作品でご一緒できたことはありがたい」と感謝を述べると、渡辺も「『許されざる者』で全幅の信頼を置ける相手だというのは感じました。実は『Fukushima 50』に出演する1つの理由として、『許されざる者』の現場で、浩市くんの100本目の作品には『参加させていただこう』と話していたんです。でも彼は多作で、あっという間に100作目を超えてしまった。だからこの映画で約束を果たそうと思ったんです」と秘話を明かした。
映画『Fukushima 50』は2020年公開。