無人の街をスケボーで駆け抜ける!『行き止まりの世界に生まれて』冒頭本編映像

アカデミー賞とエミー賞にダブルノミネートされた青春ドキュメンタリー映画『行き止まりの世界に生まれて』より、本編映像が解禁。少年たちが無人の街をスケートボードで自由自在に駆け抜ける、圧巻のシーンを収めている。
【写真】オバマ前大統領が「年間ベストムービー」に選出『行き止まりの世界に生まれて』場面写真
ビン・リュー監督のデビュー作となる本作は、小さな町で必死にもがく若者3人を12年間追ったドキュメンタリー。初監督作にして第91回アカデミー賞&第71回エミー賞にダブルノミネートという快挙を果たし、サンダンス映画祭をはじめ59の賞を総なめ、さらにオバマ元大統領が「感動的で、示唆に富む。ただただ惚れ込んだ」と2018年の年間ベストに選んだ話題作だ。
「全米で最も惨めな町」イリノイ州ロックフォードに暮らすキアー、ザック、ビンの3人は、貧しく暴力的な家庭から逃れるようにスケートボードにのめり込んでいた。スケート仲間は彼らにとっての唯一の居場所で、もう一つの家族だった。そんな彼らも大人になるにつれさまざまな現実に直面し、やがて異なる道を歩むように。カメラは、明るく見える彼らの暗い過去、葛藤を抱える彼らの思わぬ一面を露わにしていく。
今回解禁されたのは、少年たちが圧巻のスケートシーンを披露する冒頭の映像。「立ち入り禁止」のサインを平然と無視してビルに侵入して行くキアー、ザックらが、軽口をたたきながら楽しそうに過ごす様子から始まる。
続けて「世間は言い続ける“男らしく”、“強くなれ”」「それは社会のお仕着せだ。子供は自由で縛られないけど、やがてそうじゃなくなる時が来る」というザックの言葉と共に、早朝の誰もいないロックフォードの街をキアー、ザック、ビンの3人がスケートボードに乗って、まるで空を飛んでいるかのように自由自在に駆け抜けるシーンが映し出されていく。自身もスケートボーダーであるビン・リュー監督によって作り上げられた同シーンは、まるで観ている側もスケートボードに乗っているかのように感じられる疾走感あふれる映像となっている。
希望が見えない環境、大人になる痛み、根深い親子の溝…さまざまな葛藤を抱える彼らが、スケートボードに乗ってひたすら前に進んでいく本作。原題の「Minding the Gap(ギャップに注意)」は、親子、男女、貧困、人種など現在のアメリカが抱えるさまざまな分断を象徴しているが、同時に何度も段差(ギャップ)を乗り越え滑る彼らの姿に、まるで監督の自分たちの未来に対する希望と願いが込められているようにも感じられる。本編で彼らが織りなす、等身大の青春ストーリーに注目したい。
映画『行き止まりの世界に生まれて』は9月4日より全国順次公開。