アメリカ映画史から抹消された問題作、46年ぶり公開 『マンディンゴ』予告
長らく米映画史からほぼ抹消されていた問題作で、46年ぶりに全国順次上映されるリチャード・フライシャー監督の映画『マンディンゴ』(1975)より、予告編が解禁された。
【動画】過激極まる内容からセンセーションを巻き起こした『マンディンゴ』予告編
本作は、19世紀半ばの米ルイジアナ州を舞台に、“奴隷牧場”を経営する父子の栄光と没落を描く歴史スペクタクル。
原作はベストセラーになったカイル・オンストットの同名小説。監督は『ミクロの決死圏』『銃殺魔』のフライシャー、製作は『道』『キングコング』で知られるイタリア人プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティス、音楽は『アラビアのロレンス』のモーリス・ジャールという盤石の布陣で映画化され、公開されるや否や世界中でヒットを記録した。
しかし、あからさまに人種差別的な設定、偏見を助長する内容、おぞましい描写などから「最悪の映画」と酷評され、その後、クエンティン・タランティーノ監督が本作にインスピレーションを受けた『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)を手掛けるなどして一部で話題になるものの、長らく米映画史からほぼ抹消された形になっていた。
映画評論家・山田宏一氏は本作について、「『風と共に去りぬ』の闇の裏面史を描いてアメリカ中を震撼させ、大ヒットしたものの、アメリカの恥さらしとみなされてマスコミに黙殺され、映画史から消されつつあったところを、『アメリカを知る』映画評論家・町山智浩氏によれば、『これはすげえ映画だ!』とクエンティン・タランティーノ監督の一声が刺激になって、じわじわと再評価の気運が高まったという呪われた『黒歴史』の名作」と評価している。
映画『マンディンゴ』は3月12日より全国順次上映。