戦後ヨーロッパ最悪の悲劇の真実 『アイダよ、何処へ?』予告編解禁
第二次世界大戦後の欧州最悪の悲劇「スレブレニツァ・ジェノサイド」を描き、本年度アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた映画『アイダよ、何処へ?』より、緊迫感あふれる予告編とポスタービジュアルが解禁された。
【動画】映画『アイダよ、何処へ?』予告編
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争末期の1995年7月に起きた戦後最悪のジェノサイド(集団虐殺)とされる「スレブレニツァの虐殺」で、いったい何が起きたのか―? 本作は、同国東部スレブレニツァで約8000人のイスラム教徒が虐殺された惨劇から25年という節目に、国連平和維持軍で通訳として働く女性アイダが必死に家族を守ろうとする姿を通し、その真実を描く衝撃のドラマ。
監督は、多感な10代の時期にボスニア紛争を経験し、31歳の時に発表した長編デビュー作『サラエボの花』が2006年ベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞し世界から注目された女性監督ヤスミラ・ジュバニッチ。ジュバニッチ監督は、『サラエボ、希望の街角』などをはじめ、一貫して故郷ボスニア・ヘルツェゴヴィナの悲劇、1992年から95年のボスニア紛争の傷痕を描き続けている。
ボスニア紛争末期の1995年夏、ボスニア東部の町スレブレニツァがセルビア人勢力の侵攻によって陥落。避難場所を求める約2万人の市民が、町の外れにある国連施設に殺到した。国連保護軍の通訳として働くアイダは、夫と二人の息子を強引に施設内に招き入れるが、町を支配したムラディッチ将軍率いるセルビア人勢力は、国連軍との合意を一方的に破棄。避難民の“移送”とおぞましい処刑を開始する。愛する家族と同胞たちの命を守るため、アイダはあらゆる手を尽くそうと施設の内外を奔走する―。
予告編は、1995年、ボスニア東部の町スレブレニツァが、敵対するムラディッチ将軍率いるセルビア人勢力に侵攻される恐怖の中、避難場所を求める約2万人の市民が国連保護軍の施設に殺到する様子から始まる。続いてその混乱の中、国連保護軍の通訳として働くアイダが、ともに紛争を生き延びた夫と息子二人を守るため、あらゆる手を尽くそうと必死で奔走する姿や、国連施設のすぐ近くでボスニア人男性たちの処刑が始まったことを目撃する場面が映し出されていく。
映像の途中には、イギリスの巨匠監督マイク・リーが本作に寄せた「圧倒された。稀に見る傑作!」という絶賛コメントも挟み込まれている。果たしてアイダは家族を救うことができるのか。ドキュメンタリーのような迫真性とスリリングな展開に引き込まれる、重厚な予告編となっている。
ポスタービジュアルは、「そこに、神はいなかった——」というキャッチコピーとともに、アイダが強い視線で何かを見据える姿を切り取ったもの。憎しみの連鎖を断ち、他民族との融和を願うジュバニッチ監督の希望が込められた意味深なタイトル『アイダよ、何処へ?』が、観客に深い問いを投げかけている。
映画『アイダよ、何処へ?』は9月17日より全国順次公開。