
北林谷栄
北林谷栄 出演映画作品
-
黄泉〈よみ〉がえり
制作年:2003年01月18日(土)公開
『害虫』の塩田明彦監督がSMAPの草なぎ剛を主演に迎えて贈る、感涙のリアル・ファンタジー。3週間だけ甦った死者と家族の再会と別れの情景を、多彩なエピソードを効果的に配しながら綴る。
-
阿弥陀堂だより
制作年:
【信州の大自然の中で生を再発見する夫婦の物語】 『雨あがる』の小泉堯史の監督第2作。都会暮らしに疲れたエリート女医と、売れない作家であるその夫が信州に移り住むことを決意。奥信濃の村の人々とのふれあいに癒されていく。
-
女の一生〈1953年〉
制作年:
モーパッサンの同名小説を新藤兼人が翻案・監督。京都の寺に生まれた藤子は、牛肉屋山崎亭の真太郎に嫁ぐが、夫に裏切られ、藤子の不幸な一生が始まった。原作の舞台ノルマンディーを京都に置き換え、太平洋戦争を織り込むなど、新藤の脚色は巧みであったが、物語の暗さのせいか観客には受け入れられなかった。
-
童貞先生行状記
制作年:
新米教師の野々宮は小諸の聖心女学院に赴任することに。小諸の駅では女学院を温泉場にしようと計画する町のボスが、東京から来る大学教授のもう一人の野々宮を待っていた。女学院の野々宮は、大学教授の野々宮と間違えられ料亭に連れて行かれ、大歓迎を受けるが……。春原政久お得意の喜劇。
-
人生劇場・第一部/第二部
制作年:
豪家の一人息子で東京の大学に出ている瓢吉という男が、大学で総長夫人像の建設反対運動を展開。吹岡、夏村といった友人とともに戦うが、お袖という女をめぐる三角関係や運動の敗退などで散りぢりとなってしまう。やがて瓢吉と吹岡は文学を志し、ライバル関係となるが……。尾崎士郎のおなじみの原作を、俳優の佐分利信が監督にあたり、当時の東映社長・大川博が直接製作にあたった芸術祭参加作品。
-
ごろつき無宿
制作年:
九州の炭坑夫・武田勇は、落盤事故で死んだ父の遺書で東京へ出ることになる。途中、汽車の中で上京するバレーボール選手・ゆきと知り合い、将来の夢を語り合うが、勇を待っていたのは暴力団の抗争だった……。伊藤俊也、澤井信一郎が脚本を共同執筆した青春アクション。
-
関白宣言
制作年:
さだまさしの同名ヒット曲をヒントにしたサラリーマン喜劇で、実弟のさだ繁理が主演した珍品。23歳の宇田まさしは、うだつのあがらない会社員。恋人なしの生活を見かねた悪友から紹介された美女・久美が、鬼部長の実の娘だったことから大騒動が……。いかにも“演技勉強中“の名取裕子が初々しい。
-
やくざ先生
制作年:
石原裕次郎主演による学園もの。戦災孤児を収容する学園に裕次郎扮する補導員が赴任して来る。彼自身もこの学園出身の不良少年であった。彼は少年たちに素っ裸でぶつかっていくが、学園はジェット機基地建設のために取り壊される運命にあった。青春学園ドラマの先駆け的な一作。
-
夏の嵐〈1956年〉
制作年:
浅井家では、長女の妙子が婚約者を家に連れてくる。ところが次女・稜子にとって、姉の婚約者は赤の他人ではなかった。2年前、キャンプ地で衝動的に身をまかせた男だった。その男が今、姉の婚約者として姿を現わしたのだ。その日以来、稜子は清算しようにもしきれない危うい関係の中を生きはじめる……。女子大生が書いた芥川賞ノミネート小説を、中平康が映像化。“太陽族映画“として注目の的に。
-
千羽鶴
制作年:
人間の本能を赤裸々な描写で追求する増村保造が、日本的風土のなかで女性の美を描く川端文学を映画化。お茶の師匠と、その父親と関係のあった二人の女を中心に展開される色模様が描かれる。同じ新藤脚本にもかかわらず、吉村公三郎版とはまったく肌合いの異なったドライな仕上がりになっている。
-
夏目漱石のこころ
制作年:
日置にとって野淵先生は最も尊敬する人物であったが、奥さんとの間に漂う何かしら暗い影が気がかりだった。ある日、先生は突然の自殺を遂げ、その遺書により日置は先生の孤独の真相を知る……。文豪・夏目漱石の名作を市川崑が忠実に映画化。鋭い心理描写が冴え、俳優たちの緻密な演技が強い印象を残す。
-
続・警察日記
制作年:
田舎の警察署に勤務する好人物たちが、右往左往するさまをスケッチ風に描いたもの。ヒット作の続編だが、ストーリーは独立している。森繁、東野、杉村などの人気者が抜けた穴を、前作では脇だった伊藤の格上げをはじめ、大坂、安部、林、北林ら通好みのキャスティングで埋めているあたりが憎い。風速50メートルの台風が近づき、磐梯山のふもとの牛方町は大騒ぎ。結婚を明日に控えた娘の鉄道自殺未遂に始まって、ストリッパー上がりの女の無責任な予言騒動、バス会社の女車掌身体検査をめぐる悶着、公金横領犯の出没、もぐり産婆の逆襲など、気の良い警察官たちを悩ます数々の難事件(?)が展開する。
-
女優〈1956年〉
制作年:
新派の女優として人気を博し、映画でも溝口の名作「残菊物語」などに出演した森赫子。彼女が、自らの半生を赤裸々に描いた自叙伝『女優』を新藤兼人が映画化。新藤作品で様々な女性像を演じ続けてきた乙羽信子が、自分の信念を貫くために、あらゆる困難に勇敢にも立ち向かっていく強い女を熱演している。
-
危険な女たち
制作年:
A・クリスティの『ホロー荘の殺人』を野村芳太郎が翻訳して映画化。とある別荘に集まった人々の、複雑に絡んだ人間関係が殺人を呼ぶという内容。この作品以前に金田一耕助を演じた石坂浩二がここでも探偵まがいの小説家を演じている。室内劇スタイルで贈る極上の犯人当てミステリー。
-
恋人〈1951年〉
制作年:
結婚式を翌日に控えた女が、最後の1日を楽しく過ごしたいと、小さい時から兄弟のようにつき合っていた男と奔放に遊びまわる様子を、女の微妙な心理を絡めて描いたドラマ。梅田晴夫の放送劇『結婚の前夜』を、和田夏十と市川崑が脚色した。
-
月山
制作年:
山形県の庄内平野の奥にあり、古くから修験道の霊場として知られる月山の寺に、特に目的もなくひと冬を過ごしにやって来た青年の心の内側を描いた作品。外面的な動きに乏しい題材を、村野監督が朴訥な語り口と骨太の造形力でみせてくれる。
-
旅情〈1959年〉
制作年:
双葉流の家元として、生け花を紹介するため海を渡った杉田真弓。しかし、本当の目的は、かつて別れた恋人三上俊一に会うためかもしれなかった。だが、異国の地で三上は日系3世の娘と婚約していた。ふんだんなハワイ・ロケで、南国ムードたっぷりに仕上げた菊村到原作のメロドラマ。
-
大魔神逆襲
制作年:
雪深い山里での物語。隣国の領主は兵器作りのために村の男たちを地獄谷に連れ去る。父や兄を助けるため、4人の少年が魔神の山を越え地獄谷に向かう。少年たちは雪山で睡魔に襲われ、彼らの命もこれまでと思われた時、金色の光とともに大魔神が現れ……。
-
にあんちゃん
制作年:
10歳の少女・安本末子の綴り方(=日記)の映画化。昭和28年の春、不景気に覆われた佐賀県の小さな炭鉱町を舞台に、父母のいない4人兄弟が、貧しくてもけなげに生きる姿を描いている。今村監督の演出は重厚なリアリズムで貫かれていて、観客の涙を誘うようなセンチメンタルな描写を回避している。現地ロケをいかして、炭鉱町に生きる人々の姿を鮮やかに捉えている。栄養失調になりながらも明るく元気な末子を演じる前田暁子をはじめ、子役たちの好演も印象深い。今村監督はこの作品で文部大臣賞を受賞したが、このような賞をもらってはいけないと自戒し、「豚と軍艦」を製作したという。
-
鍵〈1959年〉
制作年:
耽美派文学の巨匠・谷崎潤一郎が晩年に発表した同名小説を、最も脂の乗っていた時期の市川崑監督が映画化した作品。初老を迎えた地位ある男とその妻、さらにその娘と恋人の医師の4人の奇妙な関係が官能的に描かれている。カラーの発色を極力抑えた撮影が秀逸。
-
事件
制作年:
犯罪事件の中に、骨太の人間ドラマをカット・バックを多用して構築するという、野村芳太郎監督の手腕がさえる1本。単純な刺殺事件と思われた犯行の裏に、ひと組の姉妹の葛藤が激しく渦を巻いていた。回想を的確に取り入れて事件の真相を観客とともに解明していく。各映画賞で助演賞を総ナメした大竹しのぶの体当たりの演技も秀逸だ。19歳の工員がスナックのママを刺殺する事件が起きた。動機は? 殺意はあったのか? 公判が進むうちに、工員の青年をめぐって、ママとその妹が激しい争いをしていたことが明るみに出る……。
-
日本列島
制作年:
帝銀、下山、三鷹、松川、スチュワーデス殺人事件など敗戦後占領下に相次いで起きた怪事件を軸に、熊井監督がCIAの謀略説を推理ドラマタッチを加味して暴き出したリアリズム大作。パリのシネマテークでは「白い影」という題で上映された。新聞記者と米軍通訳のコンビが、在日米軍に絡む殺人事件を追う。
-
松川事件
制作年:
労働争議の激しい時代に起きた歴史的事件を、社会派監督・山本薩夫が映画化。昭和24年、東北本線・松川駅付近で発生した列車脱線事故を起こしたとされ、労組から20名が逮捕される。が、13年に渡る法廷での闘いにより検察の陰謀だったことがわかる。
-
有楽町で逢いましょう
制作年:
フランス帰りの新進デザイナー・亜矢は知り合いの女子大生、加奈の兄・練太郎にプライドを傷つけられて怒り心頭。そのうえ弟・武志と加奈の交際に関しても彼と対立することに。だがファッション・ショーが不評に終わって落ち込む彼女を慰めてくれたのは、その練太郎だった。ヒット曲からタイトルを得た風俗ドラマ。
-
穴〈1957年〉
制作年:
市川崑の才気あふれる、コミカルで軽妙なミステリー。出版社に勤めるルポライター、北長子は、警察官の汚職事件を書いたことが原因で会社をクビになってしまう。そこで彼女は、自らが偽の失踪事件を起こしてそのルポを書き、長子を探す懸賞を募集するという企画をたて、週刊誌に売り込みに行く。ところが長子が、預金横領事件に巻き込まれて事態は思わぬ展開に。
-
牝犬〈1951年〉
制作年:
保険会社に勤務するまじめ一筋の経理部長・堀江は、部下が会社の金を使いこんだことをきっかけに、浅草のレビュー劇場へと足を運ぶ。そこで知り合ったエミーと深い関係になり、とうとう港町に二人でキャバレーを開くのだが……。男を骨抜きにしてズルズルと身を落とさせていく女を、京マチ子が妖艶に演じる危険な女のドラマ。
-
キクとイサム
制作年:
水木洋子のオリジナル脚本を名匠・今井正が映画化、占領時代の落とし子である混血児姉弟が明るく生きる様を乾いたタッチで描く。主人公の二人に起用された映画初出演の混血児たちの存在感が素晴らしい。実年齢の倍近い老婆に扮する北林谷栄の熱演も見もの。
-
愛の陽炎
制作年:
将来を誓いあった男にはほかに女がおり、裏切られたと思い込んだ娘は祖母から教えられた“呪い釘”を手にし、白装束に身を包んでそれを実行に移す。一途な女心とその裏に潜む強烈な嫉妬を、伊藤麻衣子が映画初出演ながら体当たりで演じる。
-
喜劇 あゝ軍歌
制作年:
無駄死にしたくないので、気のふれた真似をして陸軍の野戦病院に入り、そこで終戦を迎えた勝造とカトやんは、今も同じ会社に勤める良き友だった。その勝造の部屋に婆さん、未亡人、少女、ヒッピー風の男などが転がり込んでテンヤワンヤとなる。随所に軍歌を挿入しながら、世代間の断絶をコメディ・タッチで描く。
-
斜陽のおもかげ
制作年:
太宰治の『斜陽』の中で描かれた彼の愛人の子である町子。その重い宿命を背負いつつ元気な彼女はある日、太宰の研究をしている大学生、谷山と出会い恋に落ちるが……。太宰治の遺児、太田治子の原作手記の映画化で、斎藤光正の初監督作品でもある。
-
地の群れ
制作年:
日活を退いた熊井監督がフリー第1作にATGで“一千万円映画”として製作・監督した作品。米軍基地のある佐世保が舞台で、原爆被災者、未解放部落、朝鮮人問題が複雑に絡み、単なる社会派映画でなく日本人の原罪を追及した作品になっている。
-
ビルマの竪琴〈総集編〉
制作年:
ドイツ文学者・竹山道雄の同名小説を市川崑が監督した作品。1部、2部と分けて公開された。太平洋戦争末期、ビルマからタイへ逃がれようとする井上部隊は、井上隊長以下、みな音楽好きで、特に水島上等兵の弾く竪琴は、疲れ切った隊員たちの心に滲みた。やがて戦争が終わり、井上部隊はムドンの収容所へ送られることに。水島は一人、戦争終結を信じず立てこもる日本軍の説得に派遣される。だが、彼の説得は聞き入れられず隊は全滅する……。収容所に落ち着いた井上部隊は、水島そっくりの僧とすれ違う。それは収容所に向かう途中、放置された日本兵の白骨を見て、霊を慰めることに決めた水島の姿だった。
-
億万長者
制作年:
実直で小心者なるがゆえにうだつの上がらない薄給税務署員・館。しかしそんな彼が作成した脱税メモが、周囲の人間を大騒動に巻き込んでいく……。安部公房、和田夏十、横山泰三らのシナリオ協力を得て完成した風刺喜劇。青年俳優クラブ自主製作作品。
-
ビルマの竪琴
制作年:
1956年に映画化された竹山道雄の「ビルマの竪琴」を同じ市川崑が、前作と同じ故・和田夏十の脚本のもとに再映画化。今作品ではカラーで撮影され、タイでロケが行われた。市川はこれまでにも1971年に、当時の東宝製作担当重役・藤本真澄に「ビルマの竪琴」をカラーで再映画化したいと企画を提出しているほどで、相当に執着した企画だったのだろう。前作と同じ役で北林谷栄、前作では軍曹役の浜村純が村長役で再度出演している。
-
にっぽん昆虫記
制作年:
東北生まれの女性の生命力に満ちた半生記を、エネルギッシュに描いた今村昌平の代表作。とめは大正7年、東北の農家で父・忠次と母・えんの娘として生まれた。23歳になったとめは、製紙工場で働くようになり、地主の本田家に無理矢理“足入れ婚”をさせられる。とめはそこで信子を生み、家を出た。上京したとめは、米軍基地ハウスのメイドや売春宿の女中となり、次第に客を取るように。やがて、コールガール組織のマダムとなって、田舎から娘の信子を呼び寄せる。売春罪で捕らわれたとめが出所すると、信子は母親のパトロンだった男の情婦になっていた……。戦中戦後を生き抜く女たちの生態を、昆虫観察の残酷さで見つめ抜く無類のリアリズム。とめの心情として時折、挿入される素っ頓狂な和歌が実に効果的で、日本的土着に根ざした庶民観を讃嘆と嫌悪こもごもにつかみ出す、懐の深い力作となった。
-
にっぽん泥棒物語
制作年:
土蔵破りに入ろうとして不気味な集団を目撃する男。その直後に列車転覆事故が勃発する。21世紀になっても謎とされている松川事件を思わせるような犯罪を、うまく絡ませた恐ろしくも楽しい喜劇。刑事役の伊藤雄之助のとぼけた味わいと、三國連太郎の純情素朴な心情が笑いを増幅させる。
-
震える舌
制作年:
ごく平凡で幸福な家庭の子供が、破傷風にかかった。病気の苦痛と死の恐怖、看護に追われる家族のパニックに陥る状況などを描いた、芥川賞作家・三木卓の同名小説を映画化。意外にもろい家族の絆に焦点をあてる。子役の若命真裕子の熱演はもちろん、彼女の両親を演じた渡瀬恒彦と十朱幸代の鬼気迫る表情も忘れがたい。「砂の器」の名匠、野村芳太郎が撮り上げた異色のヒューマン・ドラマ。
-
赤い蕾と白い花
制作年:
互いに片親だけで育てられた高校3年生のとみ子と重夫。彼らが、親同志の交際を経て、結ばれるまでを描いた青春ドラマ。主演は、吉永小百合と浜田光夫の日活ゴールデンコンビ。石坂洋次郎の『寒い朝』を池田一朗が脚色し、吉永小百合のデビュー作も手掛けている西河克己がメガホンを取った。
-
肉弾
制作年:
主人公は、固有名詞のない“あいつ”。インテリらしい度の強いメガネをかけ、魚雷をくくりつけたドラム缶に入り、女郎屋の番傘をさして、ギラギラの太陽に照りつけられながら、静かな洋上をのんびりと浮かんでいる。敗戦間際の頃“あいつ”は、仲の良さが微笑ましい古本屋の老夫婦や、防空壕の中で結ばれたが空襲で死んでしまった、セーラー服の美しい少女との幸福だった時間を想い浮かべる……。岡本喜八監督の戦争への屈折した思い、青春への痛みと感傷が色濃く反映されている戦争ドラマの傑作。それを悲壮に描くのではなく、コミカルなタッチで綴っていて、より心にしみる作品に仕上がった。寺田農、大谷直子の初々しい演技も印象深い。
-
大誘拐 RAINBOW KIDS
制作年:
1979年に日本推理作家協会賞を受賞した天藤真の同名小説を、奇才・岡本喜八が映画化した痛快犯罪コメディ。3人の若者に誘拐された大富豪の老婆が、いつの間にかその誘拐犯のリーダーとなり、家族に100億円の身代金を要求。一方、その老婆を自らの恩人と慕う警部は、そんな実情も知らず捜査を開始。警察と老婆の頭脳戦が展開される。主人公の老婆には、岡本喜八がこの人以外にはないとほれ込んだ北林谷栄が、人間味あふれる好演を見せ、共演の緒形拳、樹木希林、嶋田久作らもユニークな持ち味を発揮した快演を見せている。
-
越後つついし親不知
制作年:
原作は『雁の寺』以降発表される作品が次々に映画化された水上勉の同名の小説で、監督の今井は持ち前のリアリズムで名をなしたわけだが、ここではむしろロマンティックに題材を扱っている。一見すると二人の男の確執の物語のようだが、その実、おしんという女の幸少ない人生が情感たっぷりに描かれた。冬の間、主人公が伏見の造酒屋へ出かせぎで働きに出ている時に同郷者の仲間に妻を犯され、その結果、妻が身ごもってしまうところから起こる悲劇を、神々しいばかりに美しい佐久間良子、お人好しの小沢昭一、憎々しい三國連太郎らが見事に演じきる力作である。
-
疑惑
制作年:
死者に3億円の保険金がかけられていたという実際の事件にヒントを得た、松本清張の同名小説の映画化。野村監督作品の傑作の一つ。清張自身が脚色を施し、容疑者も弁護士も女性に変えて、女同士の感情の葛藤という要素を付加している。桃井かおりと新聞記者役の柄本明が好演。
-
月曜日のユカ
制作年:
横浜を舞台に、数々の噂に彩られつつ、男たちの憧れをくすぐってやまぬ18歳の娘・ユカ。初老のパトロンと同年代の恋人を持ち、男を喜ばせるのが最大の生きがいという彼女だが、身勝手なロマンと打算に生きる男たちは彼女の奔放さにあたふたするばかり。ユカをめぐる恋愛ゲームは、とうとう皮肉な結末に……。奇抜な構図、シャープなライティング、定石破りのカット割り、ドタバタ・コメディ調の処理など、異能派・中平康は技巧を尽くして、刹那の男女関係をドライに描出。当時、20歳を越えたばかりの加賀まりこがシネスコ・サイズいっぱいに若い姿態を躍動させて、愛すべき小悪魔ぶりを発揮している。
-
キューポラのある街
制作年:
「青春の門」「青春の門・自立篇」「夢千代日記」などで知られる浦山桐郎の監督デビュー作。舞台は鋳物の町・埼玉県川口市。そこに住む職人かたぎのガンコな父を持つ、ジュン、タカユキの姉弟が、貧しいながらもけなげに生きていく様子を描いている。これにタカユキの友人・サンキチの複雑な家庭環境、ジュンの進学問題、鋳物工場の組合問題と、当時の世相を反映した社会状況が織り込まれているが、これを浦山は大上段にではなく、あくまで日常的に捉え、さわやかな感動を呼ぶ。当時18歳の吉永小百合は、本編で史上最年少のブルー・リボン賞主演女優賞の受賞者となり、女優として開眼。アイドル・スターの筆頭として黄金時代を築いていく。
-
愛と死をみつめて
制作年:
原作は当時話題になった実在の恋人同士の書簡集で、これを「越後つついし親不知」などの八木保太郎が脚色し、斎藤武市が監督した青春純愛映画。美しい吉永小百合と実直な浜田光夫の青春コンビの人気や原作の評判もあり、国民的大ヒットとなった。浪人中の誠は入院した病院で道子と知り会う。大学へ入って2年目に再会した時も道子の病気は思わしくなかった。二人は文通を続け、やがて道子も大学へ入るが軟骨肉腫という奇病で再び入院。道子は誠の愛に支えられて難手術を繰り返し、顔の左半分の切除まで行うが、不治の病には勝てず21歳の誕生日、手術なかばでこの世を去った。
-
娘の冒険
制作年:
早くに妻を亡くして、その後ずっと独身でいる父・宏二は小唄の師匠・田村ますにゾッコン。娘の京子はその師匠の弟子になりすまし、なんとか父の恋を成就させようと画策するが、ますには親の一存によって決められた結婚相手の株屋の若旦那・浅井がいた。大映オールスター・キャストによる青春明朗編。
-
人間の証明
制作年:
「犬神家の一族」に続く角川春樹事務所製作第2作。日本のオールスター・キャストに加え、アメリカロケ、一流のアメリカ俳優の起用、そしてなによりTVスポットの大量放映という当時としては破格の宣伝方法によって大ヒットを飛ばした。角川映画はこうして映画界に確固たる地位を築き、以後話題作、ヒット作を作り続けていくことになる。また脚本を一般公募で募集したことでも話題となったが、選ばれた脚本がプロの手になるものだったのは皮肉。事件の手掛かりになる西条八十の詩も流行した。アメリカからやって来た黒人青年の不審な死をきっかけに、高度成長する戦後日本の、母子の悲劇が浮かび上がる。
-
息子の結婚
制作年:
義母とうまくいかず、父にも反抗的な実業家の先妻の子・進一。ひょんなことから知り合った女・ユリエに勧められて、彼はジャズ喫茶のボーイとして働き出す。そんな時、父は息子に黙ってその店に融資するのだが……。川口浩・若尾文子、川崎敬三・叶順子の二組のカップルと親子が織り成す青春明朗編。
-
喜劇・にっぽんのお婆あちゃん
制作年:
高齢化社会問題を当時としては画期的に先取りし、コメディ・タッチでありながらも鋭く描いた問題作。北林谷栄やミヤコ蝶々をはじめとして、日本の映画界を背負ってきた女優陣がスクリーン狭しと登場する。浅草を放浪する二人の老婆。一人は家出し、一人は老人ホームを抜け出してきたが……。
-
好人好日
制作年:
笠智衆と岩下志麻が父娘に扮し、ほのぼのとした情愛を見せる人情ドラマ。奈良の大学の数学教授・尾関は、数学以外には無関心の変人。その娘・登紀子には竜二というフィアンセがいるが、彼女は父が竜二を気に入るかどうかが気掛かりで……。随所にユーモアを交えながら、娘を温かく見つめる父親を演じた笠智衆の好演が光る。
-
婚期
制作年:
実業家・唐沢卓夫は家庭をかえりみず、妾を囲う身。妻の静は卓夫の二人の妹・波子と鳩子のイビリに耐えつつ、逆襲を狙っている。そんなある日、静のもとに差出人不明の手紙が舞い込んで……。女流脚本家・水木洋子のオリジナル・シナリオを吉村公三郎が監督したホーム・コメディ。
最新ニュース
-
女優・山田杏奈、オールバックで美デコあらわ 大人な色香に「綺麗さが爆発しすぎている」
-
金髪に激変の山本舞香、“姉ちゃま”と火鍋デート「最高だね」「金髪大好きやから嬉しい」
-
激レア! ジュリア・ロバーツが天使のようにカワイイ息子の写真をシェア
-
ウィル・スミス、理解できなくて『インセプション』オファーを断っちゃった
-
佐倉綾音が語る“信頼”と声の力――誰かを救う、その一言の先にあるもの
-
豪快脚上げフォームが話題の岡田紗佳、始球式オフショでかわいさ爆発「脚ながっ」「見惚れちゃいます」
-
『前橋ウィッチーズ』が面白すぎる! ファンタジーなのに超等身大『虎に翼』脚本家が描く新たな魔法少女たち
-
「阿部寛伝説」5選! 売れない時期の意外な“職”に、高身長ゆえの“能力”も<本日誕生日>
-
蒼井優、パワーの源は「家族」 世の中のママたちにも「ものすごく勇気をもらっています」
-
元日向坂46一期生、“かげきょん”ショットにファン歓喜「日向坂46の絆は永遠」
-
『べらぼう』第24回 “蔦重”横浜流星、日本橋の店購入に苦戦 打開策を探る
-
『ダメマネ!』最終回 “美和”川栄李奈、舞台成功のために奔走するもTOYOプロ最大のスキャンダルが世に出る
-
『ひとりでしにたい』初回 “鳴海”綾瀬はるか、伯母の遺品に絶叫 ネットも衝撃「吸うやつ出てきた」「攻めてるNHK」
-
『25時、赤坂で』続編決定! 主演は駒木根葵汰×新原泰佑が続投 芸能界が舞台のラブストーリー
おすすめフォト
おすすめ動画 >
-
X
-
Instagram