クランクイン!

【月刊ローチケ拡大版】タカハ劇団 第22回公演『プール』/高羽彩インタビュー

演劇

高羽彩
高羽彩 クランクイン! 写真:村上宗一郎

 11月中頃から下旬にかけて、東京芸術劇場シアターイーストと名古屋のメニコン シアターAoi の2都市にて、タカハ劇団『プール』(作・演出:高羽彩)が上演される。本作は、タカハ劇団の初期のサスペンス代表作であり、18年ぶりの再演。個性豊かな俳優陣とともに、2026年ならではのリクリエーションが動き出す。物語の舞台は、医学部の解剖学教室支援室。高額時給に惹かれてアルバイトにやってきた学生が目にしたのは献体の防腐処理、つまり「死体を洗うこと」だった…。予見的ですらある鋭い劇作と生々しいシーンの数々、そして、それらとともにあぶり出される現代社会に横たわる暗部とは? 初演時の反響、再演への思い、そして、20年にわたる演劇生活の中で感じている実感や今後の展望について高羽彩に話を聞いた。

【写真】高羽彩、撮りおろしフォト

◆まだ「闇バイト」という言葉もなかった 初演から18年ぶりの再演へ

――初演時にクチコミから話題を呼び、連日満席となった『プール』ですが、改めて当時の執筆背景をお聞かせ下さい。

高羽:私は元々オカルト的なものが好きで、『プール』も「解剖実習用の死体洗い」という高級バイトがあるらしい、という都市伝説から着想を得て書き始めたんです。もちろん献体はものすごく完成された安全なシステムなんですけど、オカルトファンの中では都市伝説として囁かれていたんですよね。当時は「闇バイト」という言葉もなく、私自身もそうしたテーマを書こうと思っていたわけではなかったのですが、今や連日メディアでも騒がれる社会問題となりました。ホラーのつもりで書いたものが、ホラーじゃ済まなくなったというか…。フィクションを現実が塗り替えてしまうような感覚になったんですよね。

――私も台本を拝読し、強烈な今日性に衝撃を受けました。時代が作品に追いついたというのか、追いついてしまったというのか、同じ作品が違った感触を以て迫り来るような感覚があって…。

高羽:長く劇作家を続けていくと、こういう感覚になることが時々あるんです。昨年再演した『帰還の虹』も「戦意高揚画」で名声を博した画家の話だったのですが、時を経て見つめ直すと、より生々しい現実が迫るような感覚になりました。他にも、2012年に初演した『ネジ工場』は工場で働く3兄弟が何に使われているかわからないネジを作り続けているという話で、当時はディストピア的な世界観を描いたつもりだったのですが、今読み直すと、ものすごくリアルを感じたり…。

――中でも『プール』はタカハ劇団の初期作品で、初演はなんと18年前なんですよね。

高羽:自分で言うのもなんですが、よく書けていると思いました(笑)。20年近く経っているので、さすがにギャグや風刺ネタは古くなっていると思うのですが、そのあたりを微調整する程度で、ほぼ書き換えはしない方向で考えています。日常と非日常の境目がより曖昧になった今、初演とはまた違った手触りで『プール』を立ち上げることができるのではないか。そんな思いで、再演に臨めたらと思っています。

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◆世代を横断して立ち上げる 2026年ならではの『プール』

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【公演概要】

舞台『プール』
舞台『プール』メインビジュアル

舞台『プール』

■日程・会場
11月13日~23日 東京芸術劇場シアターイースト
11月28日・29日 愛知・メニコン シアターAoi

■脚本・演出:高羽彩

■出演
市川理矩、大岩世奈、久我音寧、土屋翔(劇団かもめんたる)、長友郁真、藤井憂憂、水野小論(ナイロン100°C)、薬丸翔/土屋佑壱(こまつ座)、近藤強、高羽彩

■スタッフ
舞台監督:藤田有紀彦
舞台美術:稲田美智子
照明:小林愛子(Fantasista?ish.)
音響:田中亮大(Paddy Field)
衣裳:千葉奏子
ヘアメイク:武部千里
演出助手:函波窓
演出部:新田周子 
宣伝美術:羽尾万里子(ムジナアート)
宣伝写真:金山フヒト
宣伝ヘアメイク:武部千里
キャスティング協力:伊藤尚哉
票券:藤野沙耶(ローソンチケット)
制作:小川友紀子、林紗弥
プロデューサー:後藤かおり
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