【月刊ローチケ拡大版】タカハ劇団 第22回公演『プール』/高羽彩インタビュー
――こうして改めてお話を伺っていると、高羽さんご自身のキャリアの積み重ねや、その都度社会に向けて発表されてきた様々な作品の強度のようなものを改めて感じさせられます。改めて、高羽さんが劇作に取り組むうえで大切にされているのはどんなことなのでしょう?
高羽:劇作家として書き始めて20年になるのですが、実は脚本のスタイル自体にはこだわりがなく、とくに固定はしていないんです。というのも、私は常々「この作品にとってベストなスタイルを追求したい」と思っていて、都度題材にふさわしい表現方法を選んでいるんですよね。もう少し細かいところで言うと、テーマによって登場人物の語り口も変わると思うんです。例えば、『プール』はホラー感のある、怪しげな都市伝説みたいなところから始まり、そこから「生と死」という重厚なテーマが炙り出されていくわけですが、それはやはり生々しい語り口や掛け合いによって成立しているんですよね。一方で、過去作品の『ヒトラーを画家にする話』は、題材そのものは重いんだけれども、舞台は美大のキャンパスで青春SFコメディ的な手触りもあるので、それにふさわしいポップな語り口がある、みたいな…。その時に描きたいものがあって、それが最大限伝わる、最もふさわしい表現方法を考える。そこを追求できる作家でありたいと思っています。
――そうして出来上がった脚本を元に稽古場で演出をするうえでは、どんなことを重んじられているのでしょうか?
高羽:強力なビジョンを持って稽古場に現れること、でしょうか。いろんな演出のスタイルがありますし、俳優さんから出てきたものから刺激を受けることももちろんあるのですが、私はまず「俳優が集中できる環境を作る」ということをクリアにしたいと思っているんですよね。「私はこの役を、このシーンをこういう風に考えています」というビジョンをきちんと伝えられえるよう、まずは自分がブレずにその場にいるということ。演出家としてはその姿勢を大事にしています。
――共同創作である演劇のクリエーションにおいても非常に重要なお話です。
高羽:これは、ハラスメント問題にもつながる話なのですが、私は「全員が平等でフラットであること」が「ハラスメントのない環境」とイコールではないと思っているんです。それぞれの職能とその職能に付加されている権限や権利や権力があって、大事なのは、それぞれを適切に行使する、っていうことだと思うんです。そういう意味で、演出家に委ねられている権力ってやっぱりすごく大きいんですよね。まずはそこを自覚し、「この作品の責任者は私です」という責任をちゃんと引き受けてなくちゃいけない。そのうえで、お互いに尊重し合い、安心してそれぞれの職能を活かせる場を作るということが、私が理想とする創作環境であり、チームビルディングなんです。
◆ジャンルも国も越えて 演劇の可能性を広げたい
【公演概要】
舞台『プール』
11月13日~23日 東京芸術劇場シアターイースト
11月28日・29日 愛知・メニコン シアターAoi
■脚本・演出:高羽彩
■出演
市川理矩、大岩世奈、久我音寧、土屋翔(劇団かもめんたる)、長友郁真、藤井憂憂、水野小論(ナイロン100°C)、薬丸翔/土屋佑壱(こまつ座)、近藤強、高羽彩
■スタッフ
舞台監督:藤田有紀彦
舞台美術:稲田美智子
照明:小林愛子(Fantasista?ish.)
音響:田中亮大(Paddy Field)
衣裳:千葉奏子
ヘアメイク:武部千里
演出助手:函波窓
演出部:新田周子
宣伝美術:羽尾万里子(ムジナアート)
宣伝写真:金山フヒト
宣伝ヘアメイク:武部千里
キャスティング協力:伊藤尚哉
票券:藤野沙耶(ローソンチケット)
制作:小川友紀子、林紗弥
プロデューサー:後藤かおり