宮野真守、演技への向き合い方は「どんどんシンプルに」 ドラマや舞台の出演を重ね気持ちに変化<『大奥』インタビュー>

インタビュー
2023年6月30日 17:00

■演技への向き合い方は「シンプルになった」

――原作やドラマを見た人からは、有功と家光の関係は「純愛だ」という意見も多く挙がっていました。

純愛ですよね。僕は運命に翻弄(ほんろう)された者同士だからこそ、ひかれあったとも思います。彼女(家光)も自分ではどうしようもないことをたくさん押し付けられて、今の立場にいる。有功がそれを分かってあげたとき、自分たちにしか分かり得ないことがあると気が付いたのだと思います。お互いがお互いにしか分かり合えないという非常に強いつながり。それって純愛、プラトニックと呼べるじゃないですか。

――確かに、そうかもしれません。

ただ、その関係に気が付いていくことで、自身の問題も露呈してきて…。家光が母として、将軍として、どんどん強くなっていくのに対して、有功は次第に自分の嫉妬心やもろさ、無力さを知っていきます。純愛だけれども、悲恋なんですよね。


――宮野さんは本作をはじめ、さまざまな作品を声で彩ってきました。近年では、テレビ番組でも活躍されています。有功が気持ちの変化を感じたように、宮野さん自身もデビュー当時と比べて自分のなかで芝居への向き合い方や、気持ちの変化を感じたことはありますか?

そんなのしょっちゅう感じています。それを細かく説明していたら、5時間くらいはかかりますよ(笑)?

――5時間!

うん(笑)。それくらい本当に変わっていて、自分が求めているものが、そのとき、そのときで全然違うんです。

なぜ違うのかというと、それはやっぱり経験ですよね。経験していくと、見え方や視野が変わっていく。逆に何も考えずにやっていたときの表現はすごくピュアで、それもすてきなんだけれど、そこには戻れる訳がないし、そんなことを思っても意味はない。それを追い求めている瞬間もありましたが、経験を重ねたから考えられることも増えてきたと感じています。

――声優としての活動はもちろん、ドラマや舞台での芝居なども含めて、いろいろな経験をすることで演技への向き合い方が変化している。

めちゃくちゃ変わってきます。テレビも舞台も含めたいろいろなタイプの現場を経験することで、役への向き合い方は非常にシンプルになっていっているかもしれません。「こうしなきゃいけない」と思うことが、なくなってきたというか。前はテクニカルな部分を頑張っていた時期もありましたが、ちゃんとその役のことをどれだけ感じられるかが大事だと今は思っていて。それぞれの現場で求められるものが違うので、それに対応していく意味でも考え方はシンプルになっていますね。

――修行して、洗練されてきたということなのかも。

確かに、そういうことなのかもしれないです(笑)。

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