いじめ問題にも新たな視点 『ミステリと言う勿れ』“整”菅田将暉の“刺さる名言”を振り返る
■ 「どうして闘病って言うんだろう、闘うと言うから勝ち負けがつく」(第5話)
整が入院した病室で同室となった余命わずかの元刑事・牛田悟郎(小日向文世)に向けたこの言葉は、病への向き合い方を説く。「どうして亡くなった人を鞭(むち)打つ言葉を無神経に使うんだろう。負けたから死ぬんですか? 勝とうとしたら勝てたのに努力が足りず、負けたから死ぬんですか? そんなことない」と続け、「闘」の字に込められた意味や病気に対する周囲からの反応に疑問を呈す。見過ごしてしまいがちな、ささいな部分にも疑問を持ち、とことん考える整らしい発言と言えよう。
■ 「僕はストーカーに腹が立ちます。ストーカーが野放しにされて、被害者の方が逃げて、隠れて、その結果、すべてを捨てて不自由になって、殺されると怯えながらやっぱり殺される。その理不尽なシステムに腹が立ちます」(第9話)
美吉喜和(水川あさみ)の死を引き起こしてしまった橘高勝(佐々木蔵之介)に対してかけられたこの言葉は、第2話のいじめの話と同じく視点を変えて語られたものだ。理不尽さを真正面から受け止め、果敢に立ち向かう。誰かが声を上げ、理不尽さや疑問に目を向けなければ物事は変化しない。こうした整の言葉は、本当に必要とする人の元に行き届いたケアを届けるための重要な一歩だろう。
事件を起こしてしまった人、事件に巻き込まれてしまった人。フォーカスされる人の立場は違えど、整は常に他者の理不尽に立ち向かい、疑問を投げかけ、新たな視点から物事を語ってきた。『ミステリと言う勿れ』で描かれるこれらの名言の数々は、同じように理不尽さに苦しむ現代人に、スッと心が救われるような優しさを届けてきたのだ。日々の暮らしの中のささいな疑問を見過ごさず、ていねいに向き合っていきたいと感じさせる作品である。(文:Nana Numoto)
ドラマ『ミステリと言う勿れ』はフジテレビ系にて毎週月曜21時放送。