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『エルピス』眞栄田郷敦の“緊張”と“緩和” 「…雑炊食っていいっすか?」に拍手

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ドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』第5話より
ドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』第5話より(C)カンテレ

 カンテレが仕掛ける問題作『エルピス -希望、あるいは災い-』(毎週月曜22時)の第5話が21日、放送され、ある連続殺人事件の犯人とされる死刑囚・松本良夫の再審の可能性を引き寄せる重要な「真実」が明らかとなった。本作がここまで人を引き付けるのは、権力や社会の闇に切り込む覚悟、鋭さといった大きな挑戦を、時に倒れながらもそこに向き合う個、“人”を通して描いてみせるからだ。そして5話では、アナウンサー・恵那役で主演の長澤まさみと共に物語を引っ張り続ける、若手ディレクター・拓朗の変化を演じきった眞栄田郷敦にくぎ付けとなった。

【写真】眞栄田郷敦、見事な“緊張と緩和”で視聴者を魅了した『エルピス』第5話

 第4話のクライマックスで「ずっと負け続けている気がするんです」と告白した拓朗に、『フライデーボンボン』チーフ・プロデュサーの村井(岡部たかし)が、「逃げんな! 自分が何に負けてきたかちゃんと向き合え」と迫る。高校時代に友達を見殺しにしたという十字架を、ずっと背負ってきた拓朗。奥底にふたをしていた闇を開けた拓朗は、人が変わったように1人で「真実」を求め始める。

 眞栄田演じる拓朗は、目ヂカラの強さと、光を失ったときとのギャップといった放たれるオーラが大きな魅力だが、加えて刺激的な作品におけるコメディリリーフ的な役割を見事に果たしており、向かう敵が大きくなればなるほど、糸が張り詰めれば張り詰めるほどに、その重要性を増している。「真実」を求め、「なんでこんなとこまで来ちゃったんだよ」「どこなんだよ、ここは」とさまよいながら、「そうして僕はついに…自転車を買った」のひと言で、緊張感をほどよく緩めてみせるなど、緩急をつけた演出にきっちり応える眞栄田の技量に感服する。

 そして、「そのほうが楽だから」とがむしゃらに動いて、ぶつかり続けた拓朗は、ついに松本良夫の逮捕を決定づけた目撃証言がうそだったとの「真実」に到達する。

 しかし、恵那とまったく同じ手法でゲリラ的に表に出そうとしたことで、すぐに見破られてしまい、村井に止められてしまう。「真実は闇に葬られた」と落ち込みながら、その「真実」の大きさに気づいていなかったのが拓朗らしいが、彼は1人ではない。逃げていたと詫びる恵那からの「決定的で最強の真実を、キミはつかんだの!」のひと言。そこに続く「…雑炊食っていいっすか」がまた見事で、拍手したくなる復活劇だった。本作には“生と死”が常に付きまとうが、拓朗の食いっぷりは、真正面から「生」を感じさせてくれる。

 これまでにも拓朗と恵那は、どちらかが落ちればどちらかが上がりと、どうにかしてはい上がってきた。ここに村井も加わり、大きな「真実」へとまた一歩近づきそうな予感がある。だが同時に、報道局のエース記者・斎藤を演じる鈴木亮平の存在感がどんどん大きくなってきており(あの指輪は!?)、何だかとても恐ろしい。来週、第6話で第2章が完結する。(文:望月ふみ)

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