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佐藤健の破壊力を再確認 『First Love 初恋』で見せた新たな魅力と進化

ドラマ

■「カッコよさ」×「素朴さ」の融合で新たな魅力

 もう一点興味深いのは、“一般人感”と“ヒロイック”の融合だ。晴道はもともとちょっとばかし不良少年だが一途な男で、学園のマドンナ的な也英と付き合い、必死に努力して航空自衛隊のパイロットになり――というキャラクター。そうした過去を持つ人物を、華のある佐藤に託せば、ある種“属性”盛り盛りのカッコよさが際立つフィクショナルなものに振る選択肢も取れたことだろう。ラブストーリーとの相性も良く、実際『カノジョは嘘を愛しすぎてる』やテレビドラマ『恋はつづくよどこまでも』等はそうした采配が効いており、多くのフォロワーを生み出した。

Netflixシリーズ『First Love 初恋』より
 本作でも、アクションシーンやコインランドリーで眠る也英を見つめるシーン、警備服や自衛隊の制服を着こなすシーン、ロング丈のアウターを羽織って街を闊歩する初登場シーン等、佐藤のカッコよさを生かしたシーンは要所にちりばめられているのだが、そこに終始しないのが特徴的。これまで彼は映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』やテレビドラマ『とんび』『天皇の料理番』等で実直で純朴な血の通った人物を演じてきたが、『First Love 初恋』の晴道はこれまでに見せてきた「カッコよさ」と「素朴さ」が融合した人物ともいえ、新鮮に映るのではないか。

 しかも『ひとよ』や『ハード・コア』、或いは『何者』『世界から猫が消えたなら』といったような陰の魅力が光るキャラクターとも異なり、基本的には明るい性格だが現在では前に出すぎず、也英や周囲の人物を見守るポジション。也英と過ごす時間ではしゃいだりほほえんだりする自然体の表情、自分の本当の想いを恒美に告げられずに苦悶するさまなど、人間味あふれる姿が馴染んでおり、佐藤の“受け”の演技の上手さも相まって新たな魅力を開花させている。それでいて、前述したように伏線が効いたドラマのキモとなる見せ場のシーンできっちりとオーラを発揮するのだから、観る者は「破壊力がエグい……」となってしまう。

Netflixシリーズ『First Love 初恋』より
 視聴者が自分を重ねられるような人間的な“隙”をフックにして、ヒロイックなシーンでさらなるギャップを生み出し虜にする――。2面性が光る『るろうに剣心』シリーズを経て、魅せ方の緩急により磨きがかかった印象を受ける。ある種、常時開放型だったオーラを作品全体で封印するのではなく、カッコ悪さや情けなさ等も織り交ぜながらここぞという場面で一気にスパークさせる手法は、次なる佐藤健の進化を予感させる。

 ちなみに、視聴者と“再会”した本作を経たのちは、『恋はつづくよどこまでも』以来約2年ぶりとなるテレビドラマ『100万回 言えばよかった』(TBS系)が2023年1月より放送予定。井上真央・松山ケンイチと共演する本作ではなんと幽霊を演じるそうで、また新たな表情を見せてくれることだろう。(文・SYO)

 Netflixシリーズ『First Love 初恋』は配信中。

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