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『silent』全11話を通して見えたもの 紬が主人公だったから伝わった物語

エンタメ

ドラマ『silent』最終話より
ドラマ『silent』最終話より(C)フジテレビ

 耳元で、ふたりは何をささやきあったんだろう。その言葉がこちらに聞こえなくても、いや聞こえないからこそ、ふたりだけに「魔法のコトバ」が伝わり合ったと、こちらにも溶け込んでくる、とても優しい、あたたかなラストだった。川口春奈主演、目黒蓮共演のドラマ『silent』(フジテレビ系/毎週木曜22時)、青羽紬(川口)と佐倉想(目黒)と周囲の人々が織り成す物語が、22日、ついに最終回を終えた。

【写真】静かで温かなラスト 『silent』最終話フォトギャラリー

■たどり着いた思いは「今は一緒にいたい」

 好きだから、一緒にいるのが苦しいと離れようとする想。自分の手話(顔)を見るのもつらいならと、紬はポストイットに書いた文字で懸命に思いを伝えようとする。笑うことや音楽を聴くことを捨ててでも想と「一緒にいたい」と。閉じこもらないでと祈るも、想は、自分を閉じ込めて去ってしまった。

 全然変わらない紬を見ると、自分が変わったことを一層突きつけられると言っていた想だが、湊斗(鈴鹿央士)が紬に「想の見てる青羽って、高校の紬ちゃんで止まってるんだよね」と言った通り、想は、想の知らぬ人生をしっかりと生きてきた今の紬に向き合っていない。そのことを、想には奈々(夏帆)が教えてくれた。そして「私たちは、うつむいてたら優しく声かけてもらっても気づけないんだよ。見ようとしないとダメだよ」と。

 おそらくは別れを決意して、高校の教室で再会した紬と想。そこでも紬は思いを乗せた言葉を投げかけ続け、想も、この先もつらいことが待っているとしても、「今は一緒にいたい」と答えを導き出す。そして紬が想に恋に落ちた体育館で、あのとき想も紬を見ていたとのご褒美のようなサプライズが。ようやく想も、紬と向き合い始めた。

■人と人が向き合い、つながっていくことの貴重さ

ドラマ『silent』最終話より(C)フジテレビ
 「音楽」を重要視しながらも、手話や筆談を介するために非常に音が少なく、ドラマとしてとても挑戦的な作品だった『silent』。特に最終回は、むしろ音がしない時間のほうが占めていたが、その静けさが、より深く気持ちを伝えてくれた。最後、ハグやキスシーンを求めていた人もいただろうが、ラブストーリーであると同時に、人間ドラマだった本作のふたりには、この穏やかなラストがぴったりだった。恋愛を超えて、人と人が向き合い、つながっていくことがどれだけ貴重かを教えてくれた。

 また本作は小物使いやリフレインによる効果が秀逸だった。花言葉の思いを託した花束、おすそ分け、プレゼント交換、奈々の春尾(風間俊介)へのハンドバッグのおねだりなど、最終回も、いくつものやりとりが印象を残した。特に第10話で、光(板垣李光人)に「湊斗くんは何に幸せ感じるの?」と聞かれ、「大きい花束を抱えた人、電車で見て。それかな。大事そうに持ってたから、大切な人にもらったか渡しにいくか」と答えていた湊斗が、花束を抱えた奈々と偶然出会い、さらにそこから“感謝”の意味を持つカスミソウがおすそ分けされ、つながっていくさまは希望を感じさせた。

 ラスト、高校時代のふたりと今のふたりが映る。ふたりだけに分かるささやきは、「紬」「想」という名前の呼び合いだったのか、「好き」という言葉の交換だったのか。正解は分からない。でもそこに込められた気持ちは十分に伝わる。

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■「伝えるのを諦めないで」と言える紬だから

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