「22分30秒1カット」演説シーンから『古畑』コンビ共演作まで 記憶に残る“総理大臣”役
関連 :
現在放送中の草なぎ剛主演ドラマ『罠の戦争』(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜22時)。草なぎが、復讐(しゅう)に燃える国会議員秘書・鷲津を演じる本作で、若くして内閣総理大臣まで登りつめた竜崎始を演じるのが高橋克典だ。つい先日まで連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合/毎週月曜〜土曜8時ほか)でヒロインの父親・浩太を好演していた高橋だが、本作ではときの最高権力者の役を威厳たっぷりに務めており、まだ出番こそ少ないが、短い出演時間の中で徐々に存在感が増してきている。今回はそんな高橋のように、印象的だった過去の“内閣総理大臣”役にスポットを当てたい。
【写真】「22分30秒1カット」演説シーンから『古畑』コンビ共演作まで 記憶に残る“総理大臣”を演じた俳優&女優たち
■ 中井貴一
政治家などが都合が悪いことを聞かれたときに使う決まり文句、「記憶にない」。それを皮肉ったような映画が、人気脚本家・三谷幸喜がメガホンを取り、中井貴一が内閣総理大臣を演じた映画『記憶にございません!』(2019)だ。本作での中井の役どころは、「憲政史上最悪」と言われる内閣総理大臣・黒田啓介。演説中の黒田の頭に石が当たり、政治家になってからの記憶が本当になくなってしまう、という事態から巻き起こるドタバタコメディだ。国会でも罵倒や暴言を繰り返していた総理が、記憶がなくなったことで性格が激変。弱気で、周囲の人間にされるがままの状態になってしまう中井演じる総理は、かわいらしくさえ見えてくる。その総理の周りに配置されたディーン・フジオカ、石田ゆり子、田中圭ら豪華キャストとの競演で、相互作用していく群像劇も魅力だ。
■ 木村拓哉
ピアニスト、美容師、検事、脳科学者、レーサー、そして昨年放送のドラマ『未来への10カウント』(テレビ朝日系)では元ボクサーで高校のボクシング部のコーチなど、これまで映画、ドラマでさまざまな職業を演じてきた木村拓哉。そんなキムタクがついに総理大臣を演じる、ということで話題になったのが2008年放送の主演ドラマ『CHANGE』(フジテレビ系)だ。木村が演じるのは、衆議院議員だった父の後継者として政治家になり、35歳という若さで史上最年少・総理大臣になる小学校教師の主人公・啓太。最終回では、総理大臣として約22分30秒という長尺の演説シーンを、1カットの長まわしで披露し、視聴者を驚かせた。
■ 大杉漣
2018年に急逝した大杉漣さん。晩年には、映画『シン・ゴジラ』(2016)に出演し、大河内総理を演じている。東京湾沖に突如「巨大不明生物」(ゴジラ)が現れるという前例のない事態に大パニックに陥る日本政府の長として、右往左往する姿を熱演した。大杉さんが迫真の演技で放つ「自衛隊の弾を、国民に向けることはできない!」「(記者会見で「巨大不明生物の上陸はあり得ません」と述べた後に)どうするんだ! 上陸はあり得ないと言っちゃった後だぞ!」など名言・珍言が多数ある。最期は、ファンの間で「内閣総辞職ビーム」と呼ばれているゴジラの放った熱線の犠牲となってしまうが、映画前半を大いに盛り上げる印象的な総理を演じている。