『ブラッシュアップライフ』シュールな笑い→シリアスな展開へ “バカリズムの構成力”に視聴者驚き
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安藤サクラ主演、バカリズム脚本のドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系/毎週日曜22時30分)。初回からシュールな小ネタで畳みかけ、クスッと笑える展開で厚い支持を得てきた本作だが、終盤からドラマのカラーがガラリと変わり、驚きとともにさらなる評価を集めている。本稿では、本日の最終話を前に、視聴者をさらに夢中にさせる本作の魅力に迫っていきたい。
【写真】ついに最終回! 『ブラッシュアップライフ』第10話場面写真
■飽きの来ない仕掛けの数々
そもそも、本作は、人生をやり直すたび“麻美が赤ちゃんから大人へ成長する姿”が繰り返し描かれるため、ストーリーの基本の流れは変わらない。では、なぜ視聴者が飽きずに夢中になれるのか? その鍵が、脚本家・バカリズムの構成力にあると考える。
例えば第1話。前半は、主人公の麻美(安藤)と幼なじみのみーぽんこと美穂(木南晴夏)、なっちこと夏希(夏帆)の仲良し3人組による日常的なダラダラトークを中心にストーリーが進んでいったのだが、ここですでにバカリズムによるいくつもの“仕掛け”が隠されていた。
まず、共感したくなる“あるあるネタ”が絶妙なテンポと間の取り方で途切れることなく続き、視聴者を引き込んでいく。そして、子ども時代や成人式後のカラオケでの思い出話が繰り広げられるのだが、ここには、後半で回収されるさまざまな伏線が散りばめられていた。
人生1周目で何気なく交わした“ポケベル”の話が、2周目で友人の玲奈ちゃんのお父さんの不倫を未然に防ぐ作戦へとつながったり、成人式後のカラオケで「粉雪」を歌ったのは福ちゃん(染谷将太)ではなく加藤(宮下雄也)だったことが判明したり(1周目では、福ちゃんが「粉雪」を歌ったと思っていた)。麻美が人生をやり直すことでいくつもの伏線が回収される秀逸な展開に、見ている側は驚くとともにワクワクさせられた。
■人生4周目の大きな変化と気になるその後!
このように、2話目以降も“麻美が赤ちゃんから大人へ成長する姿”が描かれる基本の流れの中、視聴者が驚く伏線や思わず笑ってしまう小ネタ、「なつかしい」と浸りたくなる時代感を仕掛け、視聴者を引きずり込んでいった本作だが、人生をやり直すごとに続きが気になる新たな展開も描かれてきた。
『ブラッシュアップライフ』第10話場面写真(C)日本テレビ
特に、大きな変化が起きたのは人生4周目から。麻美は、学業優秀な自分へとシフトし、全ての時間を勉強に費やすようになる。すると、その代償として美穂、夏希と仲良くなれず、3人の関係は崩れてしまった。楽しかった“ドラマクラブ”や“シール交換”が寂しいものへと変わってしまった突然の展開は衝撃で、麻美の3周分の人生を見守ってきた視聴者にとって、3人の関係が修復するのかは気になるところ。ドラマの中盤、バカリズムは新たに“視聴者が見続けたくなるきっかけ”を作った。