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『タモリ倶楽部』40年の歴史にピリオド 「空耳アワー」名作5選

エンタメ

リズム&ストーリー系の名作 オチまでの流れが驚きの完成度

■「ナゲット割って父ちゃん×12 どうすんだい!?」

原曲:キリング・イン・ザ・ネーム/レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
元の歌詞:AND NOW YOU DO WHAT THEY TOLD YA〜THOSE WHO DIED
空耳:ナゲット割って父ちゃん×12 どうすんだい!?

 展開に沿って、ジワジワと笑いが押し寄せてくる“リズム系”空耳の秀作。VTRでは、居間で団らんする父、母、息子の3人家族が登場する。机上のナゲットを1つ1つ手に取り「ナゲット割って父ちゃん」と渡す息子、ナゲットをテンポよく割りながら徐々にノリノリになる父の姿だけでも笑えるが、2人を見守っていた母親が「どうすんだい!?」とツッコむオチまでの完璧な流れに爆笑必至。タモリや安斎だけではなく、放送回で共に“空耳”作品を見ていた俳優・六角精児、お笑いコンビの博多華丸・大吉らも大絶賛していた。

■「あの イボ痔 あの イボ痔 ああぁぁ」

原曲:清らかな女神/フィリッパ・ジョルダーノ
元の歌詞:A NOI VOLGI A NOI VOLGI AH〜
空耳:あの イボ痔 あの イボ痔 ああぁぁ

 鑑賞後にタモリが「名作」と連呼するほど絶賛した、悲哀も感じられる“ストーリー系”空耳の1作。乗客ひしめくバスが舞台のVTRと共に、強くインパクトを残す。映像の主な登場人物は、苦しそうな表情を浮かべながらバスの手すりにつかまる老婆と、自身の座っていた席をゆずろうとする青年。老婆が「あの イボ痔」と断るものの、ヘッドホンで音楽を聴く青年は気づかず、やがて「ああぁぁ」ともだえる老婆の表情がどアップになるまでの流れが秀逸。原曲タイトル「清らかな女神」とのギャップも、作品の持ち味に。

■「あんたがた ほれ見やぁ 車ないか… こりゃ まずいよ…」

原曲:ベンベンマリア/ジプシーキングス
元の歌詞:NO TE VAYAS VUELES YA TU NO ME DEJAS TU NO ME DEGAS
空耳:あんたがた ほれ見やぁ 車ないか… こりゃ まずいよ…

 最初のシーンだけでは何が起きるか予想は付かないVTRにも引き込まれる“長文系”空耳の名作だ。映像は、車を路上に停めた男女のカップルが街中の建物に入る場面からスタート。建物から出てきたカップルに、おじさんが「あんたがた ほれ見やぁ」と道路上を指差すと、そこに描かれていたのは「レッカー」の文字。停めていた車がレッカー移動された事実に「こりゃ まずいよ…」と苦笑いするカップルの男性、それにあきれる相手の女性のやり取りで終わる展開は、やや長尺ながらもテンポがいい。鑑賞後の安斎に「これはまだまだ…。真の“空耳道”とは遥か彼方ですよね」と言わしめたほど、数ある中でも奥深い作品の1つ。

 これらの作品はごく一部で、それぞれの記憶に残る“空耳”の名作もあるだろう。金曜深夜に“何も考えずに見られる”ほど浸透した番組の終了は寂しさも募るが、その思い出は多くの人の心に刻まれている。

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