『変態仮面』から10年 鈴木亮平、正義と色気が似合う俳優になるまでの軌跡
◆『TOKYO MER』/正義感あふれる凄腕救命救急医
助演としても作品に貢献する演技力と存在感を示した鈴木が日曜劇場枠で初主演を務めたのが2021年7月期放送の『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)。
本作は、重大事故、災害、事件の現場に駆けつけ、命を救うために危険な現場に飛び込んでいく救命救急チーム“TOKYO MER”の活躍を描くヒューマンドラマ。このドラマで鈴木はTOKYO MERの専任チーフドクター・喜多見幸太を演じた。
人命救助のためなら自身の命をもかえりみない喜多見になりきった鈴木。1分1秒を争う人命救助の場面でも冷静かつスピーディに対応する姿やオペシーンでの見事な手さばきなど、細部にこだわった演技は作品に圧倒的な説得力を与えていた。
◆『孤狼の血 LEVEL2』/残虐非道なヤクザを怪演
『TOKYO MER』放送中の8月に公開されるやいなや、演じる役柄のギャップに多くの観客が驚かされたのが映画『孤狼の血 LEVEL2』だ。
この映画は役所広司と松坂桃李が共演した『孤狼の血』の続編。広島の架空都市・呉原市を舞台に、裏社会を取り仕切る刑事・日岡秀一(松坂)と対立する組織の抗争を壮絶なバイオレンスとともに描いていく。
本作で鈴木が演じたのは刑期を終えて出所してきたばかりの上林成浩。上林組を率いる彼は周囲から“悪魔”と恐れられる武闘派ヤクザ。劇中では体格の良さが際立つスーツ姿にモミアゲを剃った異様なヘアスタイル、そしてドスの効いた広島弁で大暴れ。「何もかんもぶっ壊れればいいんじゃあ…」と凄み、嬉々として暴力の限りを尽くす“悪のカリスマ”として新境地を開拓している。
◆『エルピス‐希望、あるいは災い‐』/知性と色気あふれる記者役にSNSも興奮
2022年屈指の話題作として記憶に新しいドラマ『エルピス‐希望、あるいは災い‐』(カンテレ・フジテレビ系)では、一転してテレビ局の政治部記者として官邸キャップを務める斎藤正一役を演じることに。
このドラマは連続テレビ小説『カーネーション』(2011年/NHK)の渡辺あやが実在の複数の事件から着想を得てオリジナル脚本に仕上げた社会派エンターテインメント。
鈴木演じる斎藤は、主人公の女性アナウンサー・浅川恵那の元恋人で同僚というキャラクター。劇中ではかつて恋人同士だった恵那と斎藤の男女としての関係も描かれ、大胆なベッドシーンも。インテリジェンスと野性味が混ざり合った斎藤に対しては、放送中からSNSに「男の色気、だだ漏れ!」「斎藤さんはめちゃセクシーでイイ男」などの声が相次いでいた。
今年3月に40歳を迎え、ますます俳優としての人気が高まっている鈴木。2024年にはNetflix製作の実写映画『シティーハンター』で主人公・冴羽りょうを演じることも発表されている。今後、彼がどんな役を演じていくのか見逃すことはできない。(文:スズキヒロシ)