『あなたがしてくれなくても』“指一本触れない。そばにいてほしい”――新名が本当に求めてきたものと離婚への障害
関連 :
そんななかみちと誠が向かった研修旅行。ついに体を寄せ合うふたりだったが、みちの目からは涙があふれる。みちも「もう一度、こんな風に愛されたかった」はずなのに。やはりそれは“陽一に”、こんな風に愛されたかったと、体が反応したのだろうか。誠はあの涙の意味を、どう捉えたのだろう。そして誠は、決断し、みちに伝える。「約束します。もうあなたに、指一本触れない。だから、今までみたいにそばにいてほしい」と。そしてみちもそれを受け入れた。
パートナーに拒絶され、互いにレスであることに悩んできた誠とみち。そのふたりが、指一本触れずとも、そばにいる関係を選択した。それは、陽一が言った「心が繋がっていれば十分じゃないの?」と言葉上では同じはず。しかし彼らにとって十分でなかったということは、パートナーとは“心が繋がっている”と思えていなかったから。
ドラマ『あなたがしてくれなくても』第4話より (C)フジテレビ
だが誠とみちは、身も心もとはいかずとも、すでに心は結ばれている。その関係を捨てられないということは、求めていたはずのセックスと同等、もしくはそれ以上に大事なものだったことになる。相手が自分を見てくれている、相手と自分は思い合っている、通じ合っている、彼らの求めていたセックスには、そこが含まれていた。そして一度通じ合えたと感じたみちを、再び手放すことは、もう誠にはできなかった。
◆デキル男・誠だからこそ、離婚へと進むのが難しい
ただし、みちは自分で「私はひきょう者だ」と言っている通り、繋がっている感覚はなくとも、まだ陽一への思いがある。一方、誠はすっかり楓から気持ちが離れているように見える。では離婚へと話し合いを進めては?と思ってしまうが、誠の場合、敵は彼自身のプライドなのかもしれない。
自身の中で夫婦関係が歪んでいることを認める第一段階があった誠だが、外からは理想の夫婦に映る自分たちを壊すというのは、また別の勇気がいる。楓からはバリキャリ女性としての苦悩が伝わってくるが、夫・誠からも、デキル男だからこその、また違った葛藤が見えてくる。(文・望月ふみ)
木曜劇場『あなたがしてくれなくても』は、フジテレビ系にて毎週木曜22時放送。