濱田岳が全編英語に挑戦した『サケボム』は、邦画の未来を変える?
SXSW映画祭以降、北米の映画祭を中心に招待され、数々の賞を受賞。その後、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ハワイなどで公開され、2014年1月にはDVDリリース。2014年夏にはイギリスで公開、日本公開となる5月24日には、オーストラリア、ニュージーランド、香港、台湾、フィリピン、タイなどで配信リリースを予定する。ここまでワールドワイドな展開ができるとなると、今後の邦画に大きな影響を与えそうだが。
「本作が起爆剤になるかどうかは正直分かりませんし、まだまだそこまでには及ばないかと…。ただ、日活さんが『KILLERS/キラーズ』を成功させ、松竹さんの海外向けの映画を制作する取り組み等、海外を意識した企画は増えている。また、実際に映画産業に力を入れ、東南アジアに単身乗り込んで頑張っているフィルムメーカーも多いと聞きます。さらに、三池崇史監督や是枝裕和監督、河瀬直美監督、黒沢清監督など、海外で高い評価を受けている監督や作品も多く、マーケットは世界にあると思っています」。
一方で、こうも付け加える。
「とはいえ、必ずしも世界に目を向ける必要はなく、日本人だからこそ観たい作品もあるとでしょう。作り手が誰に向かって、何を伝え、作りたいかが大事。ただ、産業としては若いファンを育てていかないといけないのではと、勝手な使命感を持っているので(笑)、国境やジャンルを超えた多様な映画が増えてほしいところです」。
最後に、「誰が観ても圧倒的なオリジナリティとユニバーサル性を持った作品は世界のお客さんに届くはずですし、実際に評価を受けているので、そんな作品にチャレンジしていきたい」と、妹尾氏は口にする。邦画も海外へ――やはり、『サケボム』の動向には注目だ。