集英社雑誌出身のモデルが、俳優として成功できるのはなぜ?

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田辺誠一、谷原章介、阿部寛、大沢たかお、風間トオル。現在、演技派俳優として知られる彼らに共通するのが、“雑誌モデル出身”であるということ。また、北川景子、榮倉奈々、橋本愛、桐谷美玲ら人気女優も“雑誌モデル出身”。しかも、俳優陣が「MEN’S NON‐NO」、女優陣が「Seventeen」と、どちらの雑誌も発行元は集英社なのだ。モデルから役者へと転身した芸能人は多くいるが、とりわけ、集英社雑誌で活躍したモデル出身者が成功しているのはなぜなのだろうか。探ってみた。
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「集英社という媒体・ブランドの強みは突出しています」と、映画関係者は口にする。「キャスティング担当の人は、様々な雑誌に目を光らせ、原石となる人がいないかを常にチェックしています。そんななか、日本最大手の出版社である集英社の雑誌への注目度は特に高く、例えば、『Seventeen』は個性的なキャラクターや奇抜なファッションなど、固定的なイメージがついていないモデルの素の部分をのぞけるため、フラットな評価をしやすい」。
また、「女子中高生に顔が知られていて人気があるというのは、マーケティングしづらい部分です。そこを対象にした雑誌で人気があるというのは、イコール、その世代をターゲットにしたドラマや映画等で起用する際のアドバンテージとなります」と、前述の担当者は付け加える。
何をおいても集英社の雑誌をチェック、といったところだろうか。だが、映画業界が集英社に注目するのは、そういった理由だけではなさそうだ。現在の邦画の多くが、製作委員会方式で作られているのも大きかった。
「集英社は出版において多数のコンテンツを抱えており、映像化作品の原作として非常に強固です。小説、ノベライズ、コミックなど、映画原作となり得る作品は多数で、映画化の際には製作委員会の一員として参画し、映画に対する影響力も担保している。だからこそ、コンテンツ供給の立場として、東宝、東映、松竹、KADOKAWAなど、多くの配給会社のなかから最適な会社とタッグを組んで多作を世に送り出せる」。
つまり、集英社がOKを出さない限り、知名度抜群のタイトルが映像化されないのはもちろんだが、ある程度の意向を汲み取らなければいけないということ。そう考えると、モデルの知名度から映画へ、映画の評判から雑誌へと、互いに新たな人を呼び込むために、雑誌のトップモデルが映画に出演するのは、ある意味、当然かもしれない。