門脇麦、春から怒濤の新作ラッシュ! 観る者をジワジワと魅了する「女優力」とは

女優・門脇麦の快進撃が止まらない。4月16日よりスタートするドラマ『お迎えデス。』(日本テレビ系)を皮切りに、『太陽』(4月23日公開)、『オオカミ少女と黒王子』(5月28日公開)、『二重生活』(6月25日公開)と新作映画が3ヵ月連続で公開され、春から初夏にかけてまさに麦ちゃん祭り!そこで今回は、独特の存在感をみせる門脇の魅力を探ってみたい。
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筆者が初めて門脇を認識したのは、東京ガスのテレビCM『ガスの仮面』。竹野内豊演じる謎の男に導かれ、徐々にプリマドンナの道を歩んでいく不器用なバレリーナ役だ。本人は実生活でバレエを習っていたらしく、すんなり役に入れたのだろうが、正直、最初は「何でこの娘がヒロインに?」と首をひねってしまった。あくまで個人的意見だが、門脇の容姿とバレエがどうにもこうにもマッチしないと感じていたからだ。ところが、そうこうしているうちに門脇の不思議な磁力に引き寄せられ、気付いたら彼女の顔が頭にピタッとこびりついていた。
そして次に出会った作品が、なんとR‐18指定の映画『愛の渦』。乱交パーティーを通して男女10人が本音を交わす衝撃作で、門脇は「地味で真面目だけれど性欲が強い」という難役を文字通り体当たりで熱演した。事務所の先輩である満島ひかり、安藤サクラが演技開眼の狼煙を上げた『愛のむきだし』にも勝るとも劣らぬ門脇の女優魂は、いよいよ頭にこびりついて卵を産み、完全に棲み着いてしまった。
身も心もむきだしで挑んだ門脇は、さらにディープな世界へ突入していくのか、その動向に注目していたが、意外にも『愛の渦』以降、門脇に殺到したオファーはバラエティに富み、逆にその可能性を広げていく。映画『アゲイン 28年目の甲子園』では父の愛に飢えた孤独な娘をリアルに演じ、記憶に新しいNHK連続テレビ小説『まれ』では主人公を支える芯の強い親友役を自然体でさらりとやってのけ、イメージの固定化を払拭。自らの力量で映画・ドラマの表舞台へと歩み出し、今年の快進撃に繋げていくのだ。
観る側も、作り手も、門脇に一番心惹かれるのは、その無尽蔵な“可能性”ではないだろうか。“キラキラ”という表現ではない独特の輝き。それは、到達する速度がとても遅く、時間をかけてゆっくりと脳に入り込むが、一度定着すると、やっかいなほど絡みつき、なかなか離れようとしない。しかも、役によって発光する色彩が変わるという柔軟さ。個性先行に思えた顔立ちも、よく見れば、瞳に憂いがあり、鼻筋が通り、肉厚の唇もセクシーだ。ジワジワと人を“病みつき”にする女優・門脇麦。今年はさらに変幻自在な彼女に出会えそうだ。(文:坂田正樹)