アーティストの危機! “2016年問題”は首都圏だけの問題ではなかった
関連 :
そのような状況を踏まえ、話を地方に移す。地方には首都圏のような数千人~1万超の施設が多数あるわけではなく、さらに、地方公演にはセットも含めた移動費がかさみ、小規模会場は収益率が大規模会場に比べて低いこともあるため、1つの大規模施設の閉鎖によって地方公演が行えなくなる、という問題にもなりかねないのである。
では、地方でどのような施設が閉鎖になるのだろうか。まずは、大阪市中央区のシアターBRAVA!(1136席)だ。1999年に大阪MBS劇場として開館し、劇団四季が大阪公演の主要劇場として使っていたが、大阪四季劇場が開館したことで、2005年4月から現在の名称に。演劇公演を中心に、堀ちえみのコンサートや、『ピアノ・レッスン』で知られる世界的作曲家マイケル・ナイマン・バンドのコンサート、中島みゆきの夜会、杏里のライブツアーなど、様々な興行が催され、幅広い層から愛された会場であった。2016年5月31日に閉館した後は、解体ののち読売テレビの新社屋が建設される予定で、シアターBRAVA!を運営する毎日放送によると、別の場所を探すとのことだが、今のところは未定となっている。
もう1つが、1999年にオープンしたZepp(ゼップ)福岡(福岡市中央区)だ。同施設は立席で2001人収容でき、こけらおとしライブを行ったPUFFYから始まり、西野カナ、MAN WITH A MISSION、凛として時雨、BABYMETAL、吉川晃司、田原俊彦、奥田民生といった多くの人気アーティストが公演。再開発による同館閉鎖が発表された日には、ゼップ福岡を惜しむ声が多数ツイートされ、移転を願う声も多く呟かれた。しかし、現在、移転先は見つかっておらず、福岡都心でのライブ開催減少が危惧されている。
どちらも、多くの人から愛された施設。まずはお疲れさまだが、文化のためにも、アーティストのためにも、そして、何よりも音楽や演劇を愛するファンのためにも、1日も早く復活して欲しい。