『下町ロケット』 イモトアヤコ、表現力増した“女優”としての進化

作家・池井戸潤×TBSの鉄板コラボでファン待望のパート2がスタートした『下町ロケット』(TBS系/毎週日曜21時)。主演の阿部寛をはじめ、竹内涼真や土屋太鳳ら前作から引き続き登場する豪華キャストも話題だが、パート2から本作に仲間入りを果たしたイモトアヤコの“女優”として進化に注目が集まっている。
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「トランスミッション開発」という夢を持った佃航平(阿部)はギアゴーストのコンペで大森バルブに勝利を収めたものの、ギアゴーストはライバル企業のケーマシナリーから特許侵害の指摘を受けてしまう。第2話では、ギアゴーストに全面協力することにした航平が、ギアゴーストを特許侵害訴訟の危機から救うために奔走する姿が描かれた。
本作でイモトが演じるのは、創業5年のベンチャー企業・ギアゴーストの副社長兼技術者の島津裕というキャラクター。第1話では、ストレス発散のためにボーリング場へ出かけた航平と裕の偶然の出会いから、佃製作所の新たな目標である「トランスミッション開発」を巡るプロジェクトの中での再会が描かれた。クライマックスのコンペのシーンでは、佃製作所が手がけたバルブの品質と、佃製作所の“顧客目線”のモノづくりに感動とシンパシーを覚えている姿を、イモトが活き活きと演じた。
そして第2話では、イモト演じる裕が、かつて帝国重工に所属し“天才エンジニア”と呼ばれながらも、優秀すぎるゆえに上司や同僚から孤立していたことや、彼女がエンジニアを目指す原点に父との思い出があったことなど、キャラクターの背景も丁寧に描かれた。イモトの演技も、それに応えるように、聡明で穏やかな技術者を肩肘張らない演技で体現。クライマックスで、裕が航平の温情に涙を流し感謝するシーンは、見る者の涙腺を刺激したに違いない。
イモトといえば、本作の放送時間の直前には別のチャンネルでハードな登山に挑んだり、苦手なヘビを食べさせられたりと体を張った芸風でおなじみだが、2010年以降は女優としてテレビドラマにも進出。しかし従来のイメージに引っ張られるようなコミカルな作品や、コメディリリーフ的な役柄が多かった。しかし本作では、柔和で真面目な技術者役を違和感なく好演。さらに主演の阿部との2ショットでも負けない存在感を放つ姿には “女優・イモトアヤコ”の片鱗を感じさせてくれる。(文:スズキヒロシ)