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あっさりしていてコクがある 宮沢氷魚の絶妙な「ハイブリッド俳優」感

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宮沢氷魚
宮沢氷魚 クランクイン!

【人物コラム/田幸和歌子】NHK連続テレビ小説『エール』(NHK総合/毎週月曜〜土曜8時ほか)の終盤における重要キャラとして、11月16日から登場している宮沢氷魚。裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)の娘・華(古川琴音)の勤める病院に、ケガで入院してきたロカビリー歌手・霧島アキラを演じている。

【写真】朝ドラ『エール』でロカビリー歌手・霧島アキラを演じる宮沢氷魚

 18日放送分では、生真面目な仕事ぶりの華に対し、「君さ、もっと気軽に楽しんで仕事したら?」と声をかけ、患者が辛くて重い気持ちを抱えているため、「君たちまで一緒に重くなったら辛い」などと語り、華を落ち込ませていた。さらに後日、入院患者たちの前でギターの弾き語りをするアキラを、華は厳しく注意。しかし、それはある患者の家族・チエの誕生日を祝うものであったことがわかり、華は再び深く落ち込むことになる。

 19日放送分ではそんな彼のリハビリを華が担当することになり、2人は急接近。そして恋に…という展開が描かれた。

■THE BOOM・宮沢和史を父に持つ米国生まれのバイリンガル

 改めて文字にしてみると、このアキラ、ともすればキザったらしかったり、チャラかったりしそうなキャラではある。しかし、不思議なことに、宮沢が演じると、全くイヤミなく、素朴な温かみが出る。なぜなのか。

 身長184cmと高身長で、「MEN’S NON-NO」専属モデルとして活躍中。父はTHE BOOMのボーカル・宮沢和史で、母はハーフのタレント、自身はクオーター。サンフランシスコ生まれで、日本語と英語のバイリンガル。こうしてプロフィール的な情報を重ねていくと、スマートさがますます増すだけに、イヤミやチャラさだって生まれそうなものなのだ。にもかかわらず、実際の宮沢氷魚にはいまどきの若手俳優にはなかなか見られない、地に足ついた堅実さや、落ち着き、気品、硬派さがある。

■ドラマ『偽装不倫』で杏の相手役でブレイク

 宮沢が俳優として注目され始めたのは、2017年放送のドラマ『コウノドリ』第2シリーズ(TBS系)や翌年放送の『トドメの接吻』(日本テレビ系)頃から。しかし、正直、そのあたりまでは「お父さんに少し似てるかな」「今後伸びてきそうな若手俳優の一人だな」程度の印象だった。

 そんな彼がお茶の間的にブレイクを果たした作品は、杏主演の『偽装不倫』(日本テレビ系)だろう。杏演じるヒロインと出会い、恋に落ちる年下のカメラマン・伴野丈は、繊細で上品で優しく、ときに大胆で、それでいて少年のような無垢(むく)な雰囲気もあり、非常に魅力的だった。

 さらに言えば、舞台で生で観る彼には、映像とはまた違った、周囲から明らかに浮き立つような透明感がある。初出演で初主演となった舞台は、藤田貴大演出の『BOAT』(2018年7月)。そこから立て続けに出演したのが、三島由紀夫絶筆の舞台化『豊饒の海』(2018年11月)だ。東出昌大主演で、高身長俳優がそろい、輪廻転生を大きなテーマとした同作の中で、神々しさすら感じるような凛(りん)とした美しさを放っていたのが彼だった。

 そのときの彼の印象について、後に英国の劇作家ピーター・シェーファーの傑作戯曲『ピサロ』で共演することになる渡辺謙は、「久しぶりに透明感のある役者が出てきたと思った」と語っている。ちなみに、コロナ禍の影響で上演日数は残念ながらわずかとなってしまったものの、宮沢氷魚が『ピサロ』で演じたのは、インカ王・アタワルパだった。そしてこの役は、1985年に山崎努が主演ピサロを演じた際、渡辺謙が演じた役でもある。いかに彼が特異な存在であるかは、このような大舞台での大役を次々にこなしていることからもよく分かる。

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