クランクイン!

  • クラインイン!トレンド

話題のBL『チェリまほ』は相手を思いやる優しさに包まれた人間ドラマだ

エンタメ

関連 :

赤楚衛二

町田啓太

■赤楚衛二と町田啓太だから生まれた心地よいバランス

 安達を演じる赤楚は、1994年生まれの26歳。10代の頃から地元でモデル、タレントとして活動した後、2015年から俳優としての活動をスタートした。アマゾンプライムビデオ『仮面ライダーアマゾンズ』に出演した2017年に、『仮面ライダービルド』で万丈龍我/仮面ライダークローズを務め、2つの『仮面ライダー』シリーズに出演を果たす。昨年は、ドラマ『ねぇ先生、知らないの?』(MBSほか)で馬場ふみかとダブル主演を務め、フジテレビヤングシナリオ大賞受賞の単発ドラマ『パニックコマーシャル』でも主演を務めた。

 そして、今年は咲坂伊緒原作、三木孝浩監督の映画『思い、思われ、ふり、ふられ』で浜辺美波、北村匠海、福本莉子と並び立ち、進路に悩む高校生をまっすぐに演じて印象を残した。『チェリまほ』は初の単独主演ドラマであり、ライダークローズとして「今の俺は負ける気がしねえ!」と叫んでいた茶髪の赤楚とは別人で、濡れた子犬のような瞳でキュンキュンさせる。

 黒沢役の町田は1990年生まれの30歳で、劇団EXILEオーディションに合格して10年になる。LDH色の濃い『HiGH&LOW』シリーズや『PRINCE OF LEGEND』に出演するほか、志尊淳演じるトランスジェンダーのヒロインを支えていくまっすぐで気のいい親友を演じた『女子的生活』(NHK総合)、有村架純演じる聖の婚約者という当て馬ポジションを見事に演じた『中学聖日記』(TBS系)、 “ドロキュン”ドラマとして話題をさらった『ギルティ~この恋は罪ですか?~』(読売テレビ・日本テレビ)などで印象を残してきた。

 今年だけでも、映画『前田建設ファンタジー営業部』でのスマートのスの字も浮かばないような発掘オタクの社員や、12月にNetflixで配信開始の『今際の国のアリス』での主人公アリスの親友・苅部など、演じる役の幅が実に広い。『チェリまほ』では完全に黒沢として立っており、安達への思いは本物だと信じられる。

 そんな黒沢がついつい観察し、ほほ笑んでしまう安達の愛らしさを、赤楚が体現する。純でちょっとネガティブで、ドギマギ、ときにバタバタしつつも、相手のことを思う気持ちへ着地する安達を嫌味なく見せる赤楚、そして見た目がいいがゆえの苦しみや、安達への焦がれる思いと、それを隠そうとする葛藤を、ふとした“ため”や、瞳の奥にそっと滲ませる町田。それぞれがハマっているだけでなく、彼らの取り合わせも、この上なく心地よい調和を生み、互いを引き立てている。

■海外でも高評価 物語は終盤へ

 エレベーターでの密着や、ガラの悪いお兄ちゃんたちが現れるピンチ、真剣な告白シーンなど、ときめかせの王道シーンが満載なのも本作の魅力。そして映画『ヒロイン失格』(2015)や『センセイ君主』(2018)など、モノローグを基盤としたラブコメを得意とし、笑いの中にもキャラクターたちの心情にきちんと寄り添ってみせる吉田恵里香の脚本が、コミックから実写へ見事に昇華させ、映画『チア男子!!』(2019)で長編デビューを飾った新進気鋭の風間太樹監督が、彼らの心の機微をすくい取るように、優しく美しく、彼らの姿を映し出していく。

 本作は日本だけでなく、海外からも高い注目を浴びている。タイのBLドラマブームも手伝って、タイやベトナムなど、海外ファンからSNSに「感動した」「安達がかわいい」「キュンキュンする」と多くの反響が届いており、第7話は、ツイッタートレンド世界5位を記録。タイ、フィリピン、ベトナムなどで展開される映像配信サービスWeTVでの配信も決定した。

 終盤に向け加速する『チェリまほ』。26日放送の第8話では、実はこちらも魔法使い化している、恋愛小説家で安達の親友の柘植(浅香航大)と、宅配業者のお兄ちゃん綿矢(ゆうたろう)のエピソードが描かれることもあり、そういえばBLものだったと改めて気づくが、前半の積み重ねから、視聴者は、本作の制作陣はこの先も平たい演出はしないと信頼している。日常の出来事に、一喜一憂しながら生活する彼らの日々に、時にキュンキュンし、時に共感し、時に羨ましさを覚えながら、安達と黒沢、そして彼らの周囲の人々の物語を最後まで見守りたい。(文:望月ふみ)

2ページ(全2ページ中)

この記事の写真を見る

関連記事

あわせて読みたい


最新ニュース

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る