スター俳優がこぞって“Webドラマ”に出演! 再生数1位『花の都に虎われて』から知る中国ドラマの舞台裏
脚本家のヒロインが自分の執筆した時代劇ドラマの世界に入り込んでしまうという異世界体験モノのラブコメとして中国で大ヒットを記録したドラマ『花の都に虎(とら)われて~The Romance of Tiger and Rose~』。中国でもTVドラマだけでなく、“Webドラマ”が大きな話題を集めるようになった昨今。2020年中国全時代劇Webドラマ1話あたりの配信再生数で1位を記録した本作から知ることができる現在の中国ドラマの舞台裏、そしてDVDリリース以降、日本の視聴者をも夢中にさせている“沼ドラマ”としての魅力に迫りたい。
【写真】Webドラマでスター俳優に! 『花の都に虎われて』“イケメン俳優”ディン・ユーシー
■ 新世代のスタッフが活躍! ドラマと同じく脚本家は若手の女性作家
中国でテレビ放送されるドラマは全世代向けの大作ドラマが多く、若い世代向けのドラマやイマドキの斬新なテーマのドラマはWebで配信されるのが一般的だ。そういったWebドラマでは若いスタッフが起用されることが多く、『花の都に虎われて』のヒロインのようにドラマ脚本家が若い作家であることも決して珍しくない。
実際に『花の都に虎われて』の脚本を手がけたのも87年生まれの女性脚本家ナン・ジェン。このドラマで彼女は高い評価を受けて2020年の初心榜五大青年脚本家に選ばれたほか、テンセントビデオ星光大賞でも脚本賞を受賞した。このように中国では今、若手スタッフの活躍が目覚ましく、彼女のほかにも『王女未央‐BIOU‐』、『白華の姫~失われた記憶と3つの愛~』の脚本家チョン・ティンユー、『私の妖怪彼氏』、『紳士探偵L 魔都・上海の事件録』の監督ダン・カーなど、30代のクリエイターたちがヒット作を連発している。
■ Webドラマがスターを作り出し、スターがWebドラマを盛り上げる!
(C)Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
このようなWebドラマはスタッフだけでなくキャストも若手が起用されるチャンスが多い。そのため新人俳優の登竜門にもなっており、近年はWebドラマで頭角を現してくる若手スターが増えている。『花の都に虎われて』に主演するディン・ユーシー、ション・インハオもWebドラマで知名度と人気を上げてきたイケメンたち。
また、ヒロイン役のチャオ・ルースーはデビュー作『鳳囚凰 ~陰謀と裏切りの後宮~』こそテレビドラマだったが、その後『春花秋月~初恋は時をこえて~』など数々のWebのラブコメドラマで人気スターの地位を確立した。逆に今では映画スターたちもWebドラマにこぞって出演し、『DUNE/デューン 砂の惑星』などハリウッド映画にも出演する名優チャン・チェンが『運命の桃花~宸汐縁~』に主演したことは大きな話題に。こうした垣根を越えたスターたちの活躍でますますWebドラマの人気は盛り上がっている。
■ 胸キュン、癒し、映像美… 中国時代劇あるあるの面白さにハマる!
そんなWebドラマで今、人気のジャンルといえば、架空の時代設定の現代的な演出による若者向けの時代劇ドラマ。『花の都に虎われて』はまさにそのトレンドを代表する一作で、視聴再生ランキング3週連続1位を記録、SNSの話題を席巻するなどブームを巻き起こした。
(C)Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
また、日本でも近年はこうした新機軸の中国時代劇ドラマが人気を集める傾向にあり、ファンタジー要素などもあるライトなラブコメがヒット。これらの作品は少女漫画のような“胸キュン”と日常生活のストレスを忘れさせてくれる“癒し”があり、美男美女スターや華麗な衣装、美術など“美”を追求したビジュアルで目を楽しませてくれるのがポイントだ。
定番のドラマティックでベタな演出や過剰にロマンティックなラブシーンは観れば観るほどクセになり、気づけば中国ドラマの“沼”にはまっていたという人も多いはず。『花の都に虎われて』はそんな“沼ドラマ”のポイントを全て押さえており、中国ドラマファンを中心に日本での注目度が一段と高まっているのにも納得だ。
『花の都に虎(とら)われて』Blu‐ray&DVDリリース中。