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監督が明かす、『ザ・バットマン』で描きたかったこと&描きたくなかったこと<ネタバレあり>

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■バットモービルの見せ方で参考にした映画は?

 自分たちのバットマンがイケる、と手応えを感じた時の監督のうれしさが本当によく伝わる監督の言葉だが、特に興味深かったのは“バットスーツを恐ろしく見せたい”という点。つまり、監督はバットマンを怖く見せたかったのかもしれない。それは、本作のバットモービルの見せ方についても現れている。

映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』場面写真 (C)2022 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
 「いかにもヒーローの乗り物っぽいバットモービルで街を走り回っていたら違和感がありますよね。バットマンがあの派手な車を乗り回しているぞ、と絶対に目立つ(笑)。そこで、スーツと同じようにバットモービルにもまた威嚇(いかく)する目的があるはずだと思ったんです。どう現れるのか、彼はきっと計算しているし、闇から現れることで脅威を感じさせようとしている。そこで参考にしたのはスティーヴン・キング原作でジョン・カーペンター監督が撮った『クリスティーン』(註:邪悪な意志を持った車が暴れまわるホラー)。あの映画では車が獣のような恐ろしいものとして描かれていました」。

 まさに、本作のバットモービルの登場シーンは怪物の目覚めを感じさせる。バットスーツとバットモービルというのはバットマンにとって極めて重要なアイコンなのだ。

■これまでのバットマンの物語とどう差別化するのか?

 なぜ監督は今回のバットマンを“人々の希望を与えるヒーロー”ではなく“悪人を震え上がらせるヴィジランテ(自警団員)”として描こうとしたのか? それこそが本作のテーマの一つと監督は言う。

 「僕はヒーローという者はその力をどう使い、社会に対しどのようなメッセージを発するのかがすごく大事だと思うんです。バットマンになりたてのブルースは、とにかく悪人どもを震え上がらせます。犯罪に対してはそれが抑止力になる、僕らもそれは理解できる。でもそれだけでいいのか? これだけの恐怖を街に注入することが正しいことなのか? もしかするとゴッサムの街がよくならないのは、ヒーローであるべき、ヒーローになるべきバットマンの現在のやり方がまだ洗練されていないからかもしれない。この“洗練されていない”部分を描くことが面白いと思った。それが本作です。バットマン映画にはすでに名作がいっぱいある。僕は60年代のTVドラマも大好きでした。こうしたバットマンの物語とどう差別化するのか?の答えはここにあったんです」。

映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』場面写真 (C)2022 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
 実は今回のバットマンは、自分という存在が周りにどういう影響を与えているのか?について苦悩するため、この監督の言葉は腑(ふ)に落ちる。自分の抱える闇が実はゴッサムの街の闇を呼び寄せているのではないか? バットマンという選択をしたことは間違っていない。しかし“間違ったバットマン”になっているのではないか? こういう不安は誰しもが理解できるものだろう。『ザ・バットマン』は見せ場がいっぱいのエンタテインメントだが、ブルースのこうした内面が深堀りされ、歴代バットマン映画の中で最も自分事化することができるかもしれない。

 映画の3時間と同じくらい、監督とのインタビューも濃厚かつ素晴らしい時間だった。スーツについて質問した際、筆者がバットマンのマスクを被って“あいむ べんじんす”と言うと、監督は大喜び。とても気さくでいい人なのだ。続編が作られた際にはぜひ来日して直接話を聞かせてほしい。

映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』場面写真 (C)2022 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

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