広瀬すず、“ぶつかっている壁”を破るために「普通の人間としての経験を大切にしたい」
誰しも長い間、同じ職に携わっていれば、何かしらの壁にふさがれることもあるだろう。2012年にデビューした広瀬は今年10周年を迎えた。ポップなものからシリアスなものまで出演は多岐にわたり、第一線で走り続けてきた。10年を通し、自身の芝居の方向性として「好みははっきりしてきた」という一方で、「こだわりはない」という。
「観るものや、作りたい作品、やりたいことの好みは出てきました。でも強いこだわりがあるわけではなく、出合うタイミングもあるから、運に任せた方が楽しい感じもあって。やりたい役があったらぜひ参加させてくださいっていう気持ちです。でも自分のやりたいことだけを続けていると、チャレンジがなくなってしまう。第三者から意見をもらうことも大事だと思っています。人の意見を聞くのも前は苦手だったんですけど、大人になったのか、ここ数年は自分なりの意見が、いい意味で減った気がしますね」。
2019年には初めて舞台に挑戦。野田秀樹が作・演出を務めるNODA・MAP『Q:A Night At The Kabuki』で映像作品とはまた違う、みずみずしい演技を見せた。
「舞台はやらないと思っていたんですけど、NODA・MAPのワークショップが楽しすぎて、参加しているうちに『やってくれるってことだよね?』って言われて断れなくなっちゃって(笑)。『あ、はい』みたいな感じだったんですけど、そこから一気に興味が湧いて稽古中から何本も舞台を観るようになって、今も観る習慣ができました。映像作品よりも圧倒的に舞台を観ることが多いですね。観るとやりたくなりますし、できる人になりたいと経験してから思って。楽しかったです、すごく」。
最後に今後の舞台出演への期待を寄せると、笑顔で応えてくれた。「はい、やります(笑)」。(取材・文:編集部 写真:松林満美)
映画『流浪の月』は5月13日より全国公開。