2022年注目女優・河合優実「ブレイクして、その時だけで消費されて終わるのは嫌」
――2019年のデビューから丸3年が経ち、昨年は多くの映画賞に輝くなど大活躍となりました。今年も出演作の『PLAN 75』がカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品されるなど、さらに注目度が増しそうです。
河合:デビューして3年が経って、バラバラの時期に撮っていたものがまとめて公開されているみたいなところもあるので、ずっと働いているという感覚はないんです。『サマーフィルムにのって』とか『由宇子の天秤』とかが公開されて、“あ、こういう風にお客さんの反応が役者側に返ってくるんだ”という経験を初めてしたばかりで…。
(『サマーフィルムにのって』への反響は)予想外でしたね。撮ってるときには、こんなに多くの方に観ていただけるとは思ってなかったですし、大人の方が結構「昨年で一番好きでした」って言ってくださったり、年代の広さも印象的でした。
――この3年を振り返ってみるといかがでしょう?
河合:始めて1年くらいは、入院と自殺する役が多くて(笑)。なぜ、こんなにひどい目にばかり遭わなきゃいけないのかっていうくらい、暗いというか、内に向かっていく役が多かったです。不幸を請け負うことが多くて、ショックではないですけど、「あ、また風俗で働いているんだ…」とか思ったりしてました(笑)。
(自分自身は)保てています。目の前のことだけをやっていて、気付いたら3年という感じなんですけど。昨年末は公開作が多かったし、反響もあったので、1回立ち止まる感じはしました。
オンとオフのバランスを崩すようなこともあんまりないです。そもそも仕事とプライベートという分け方はあまりしない気がしますね。全てが地続きな感じです。
――デビュー前に描いていた女優活動と現在のご自分の状況は違いましたか?
河合:何を思い描いて女優になったんだっけ?という感じもあるんですけど(笑)。嘘じゃなく、大人計画の舞台に出ることは思い描いていたような気がします。立ち返るとそもそもの憧れは舞台でした。映画をこんなにやるとは思っていなかったし、それがいろんな映画祭に入ったり、新人賞を頂けたり、そういうことはまったく予想するまでもないというか、頭のまったく外にあった感じはあります。
――ドラマ『17才の帝国』(NHK総合/毎週土曜22時)もスタート、話題作への出演も相次ぎ、ついつい私たちは「2022年ブレイク期待女優」などと気安く言ってしまうのですが…。
河合:ブレイクしてその時だけで消費されて終わるみたいなことはもちろん嫌だし、きっとそういう方向に行かない気はしています。(女優という仕事を)ずっと続けていければいいなと思っているので、注目していただけるというか、“一緒にやりたいです”と言っていただける方が増えることは素直にうれしいです。
――長く続けていたら、『ドライブイン カリフォルニア』がまた上演されるときには、再登場することもあるかもしれませんよね。
河合:えー!(笑) 実は私、松尾さん演出の舞台『キレイ~神様と待ち合わせした女~』のカスミ役(編集部注:これまでに秋山菜津子、田畑智子、鈴木杏らが演じた難役)をやってみたくて、憧れなんです…。
――それは、大人計画の方に聞こえるように大きな声で言っておきましょう(笑)。現在21歳の河合さんですが、この先どんな女優さんになっていきたいですか?
河合:そのときそのときで変わったりするので、あんまり決めてはいないんですけど…。これからたぶん“これ一緒にやりませんか?”みたいなお誘いも増えると思うし、いろいろな出会いがこの先ずっと続くと思うので、その中で何をやったらいいのかちゃんと選べるように、普段から物を見ることを楽しめるようにいたいですし、選べる物差しを成長させていきたいと思っています。(取材・文:編集部 写真:小川遼)
日本総合悲劇協会VOL.7『ドライブイン カリフォルニア』は、東京・本多劇場にて5月27日~6月26日、大阪・サンケイホールブリーゼにて6月29日~7月10日上演。
日本総合悲劇協会VOL.7『ドライブイン カリフォルニア』ビジュアル