クランクイン!

  • クラインイン!トレンド

「21歳のトム・クルーズに映画作りの全てを教えた」 製作者ブラッカイマーが語るトム・クルーズの昔と今

映画

関連 :

トム・クルーズ

ヴァル・キルマー

●トム・クルーズと仕事をする時は「本物」でなければならない

 また、トムと仕事をする時は、常に“本物”でなければならない。いくらテクノロジーが発達しても、ことアクションに関しては、CGで安全にやろうという発想がない。常にリアルを求めている。「時には、『危ないからやめてくれ』と願うこともありますよ。でも、そこに関しては絶対に曲げないですよね。言っても聞かない(笑)。本作では、俳優全員がトムの考えたプログラムに参加し、3ヵ月かけてパイロットとしての訓練を受けましたが、それはもう壮絶でした。最初はプロペラ機からスタートし、曲芸飛行、ジェット機と段階的に強度を高めていくんですが、最終的に“7G(体重×7倍の負荷)”に耐えなければならない。わかりやすく言えば象に踏まれながら演技をする感覚ですかね、俳優は大変でした」と苦笑い。

『トップガン マーヴェリック』メイキング (C)2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
 だが、トムだけは「体力が異次元」だとジェリーは証言する。「前作では、F-14戦闘機(今回はF/A-18に進化)でしたが、フッテージ映像を観ると、吐いたり、失神したりしている俳優がほとんど。使えるフッテージはトムだけだった。今回はそういった経験も生かしながら、また、私生活でもジェット機を操縦することも踏まえ、俳優たちがなるべくスムーズにパイロットの世界に入っていけるよう綿密に計画を立てていましたね。彼は自分の役だけでなく、作品の全てのことに関心を持ち、注意を払っている。そこも、彼が40年近くスーパースターであり続ける大きな要因だと思っています。トムほど仕事熱心な人を知りません」。

●トム・クルーズは言い切った「アイスマンが出ないなら続編は作らない!」

 現在59歳のトム。今作では自ら製作にも加わっているが、21歳の若造トムを教育した立場でもあるジェリーにとって、やりづらさはなかったのだろうか。バイタリティーあふれるトムと同じ立場になったことに対して彼は、「そんなことは全くないです。トムの性格はよく理解しているし、俳優としてもリスペクトしているし。たまに意見の相違があって口論になることはありますが、二人とも『最高の映画を作りたい』という同じ目標を持っている。だから、最終的には徹底的に話し合って、よりベストなアイデアを採用するだけなんです」と強調する。

『トップガン マーヴェリック』メイキング (C)2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
 アイスマン役のヴァル・キルマーの起用に関しても、ジェリー自身は(大病を患ったヴァルの状態を心配し)複雑な思いもあったようだが、「トムは、『ヴァルが出演しないなら続編は作らない』とまで言い切ったんです。確かにヴァルに出てもらうことは、この映画にとってとても重要なことだと私も思っていたので、そこはトムと意見を合わせてヴァルにオファーをかけました。するとヴァルはものすごく喜んでくれて…彼の方からもいろんなアイデアが出されたんですが、脚本家も交えながら練りに練って、マーヴェリックとのあの感動的な再会シーンを撮ることができた。これも、トムの考えがベストだと思い、ともに意志を貫いたからこそ生まれた奇跡ですよね」。

 「映画を観に来る皆さんを楽しませたい」…その一心で映画作りにまい進するハリウッドの両雄。さしずめトムが太陽なら、物静かなジェリーは月。タイプは全く違うが、二人は心の奥底で深く、固く、つながっているようだ。(取材・文・写真:坂田正樹)

 映画『トップガン マーヴェリック』は公開中。

2ページ(全2ページ中)

この記事の写真を見る

関連記事

あわせて読みたい


最新ニュース

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る