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萩原聖人、プロ雀士デビューが転機 50代を迎え「劣化しながら進化する」

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萩原聖人
萩原聖人 クランクイン! 写真:高野広美

 1990年のテレビドラマ『はいすくーる落書2』(TBS系)で注目を集めて以来、多数の映画やドラマに出演。映画『マークスの山』や『CURE』などでの演技で日本アカデミー賞をはじめとした数々の映画賞も受賞してきた萩原聖人。7月22日から公開される映画『島守の塔』では、第二次世界大戦中、沖縄県知事として県民の命を救うことに奔走した、実在の人物・島田叡役を熱演している。圧倒的な演技力で観るものを魅了するだけでなく、プロ雀士としても活躍する萩原に、デビュー35年を迎えた今、感じていることや俳優業への思いを聞いた。

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■戦時下最後の沖縄県知事役を「裏側の思いを感じながら演じた」

 7月22日から公開される映画『島守の塔』は、戦禍が激しくなる沖縄で、県政のトップとして県民の命を守り抜こうとした島田と、知事に付き従い職務をまっとうしようとした警察部長・荒井退造(村上淳)の姿を描いた作品だ。

 萩原は、自身が演じた島田という人物について「映画の中ではヒーロー的で、そうした部分がフィーチャーされていますが、実際にはどんな思いを持っていたのかを考えながら演じた」という。

 「家族を残して沖縄に出向いた島田さんですが、全てに対して仕方がないと割り切れるものではないと思います。沖縄の人のことを一番に考えてはいたと思いますが、家族のことだって考えていたでしょうし、死を恐れる瞬間もあったはず。映画の中では、それは描かれていませんが、僕はそうした裏側の思いを感じながら演じました」。

映画『島守の塔』場面写真 (C)2022 映画「島守の塔」製作委員会
 一方で、「島田さんは武士道を信念として持っていて、それを大事にしている人でした。命じられたから沖縄の人のために行動したのではなく、沖縄の人たちとコミュニケーションをとって、好きになったからこそ、沖縄のために命を懸けることができた。好きな人のためならば、犠牲を厭わずに何かできるってことはあるじゃないですか。好きだからそうしたんだろうと思います」と、島田という人物を分析した。

 「人間の命の尊さ」を描く映画として、戦後75年の2020年に企画された本作。現在の世界情勢を鑑みても、戦争は決して他人事ではない。萩原も「半年前は想像もできなかったような、とんでもないことが起こっている」と複雑な表情を浮かべ、「日本では第二次世界大戦以降、戦争は起こっていませんが、世界を見れば、僕たちが生きている間にも何回も起こっています。どうして人は戦争をしてしまうのか…人間って難しいですね」と思いを吐露した。そして、「戦争は作品として残すだけでいい。今はとにかく、早く戦争が終わってほしいと祈るばかりです」と思いを馳せた。


■若い時は「いい芝居をしたら勝ちだ」と思っていた 35年のキャリアを経てモチベーションに変化

 1987年『あぶない刑事』で俳優デビューしてから、35年。萩原は、この35年間を「あっという間といえばあっという間でしたが、目の前にある作品と向き合い続けることの繰り返しなので、35年も経ったという実感は全くありません」と振り返り、「まだまだ続けていくつもりですし、落ち着いてしまったらダメだと思います。もちろん、自分も落ち着きたくないという思いが強いです。僕が死ぬ最後の一瞬で、充実感を感じられればいいなと思っています」と思いを口にした。

 この1年は、ドラマ『教祖のムスメ』(MBS)、『空白を満たしなさい』(NHK)、映画『今夜、世界からこの恋が消えても』(7月29日公開)など、多数の出演作が放送・公開される。多忙を極めているのではないかと尋ねると、萩原は「“サメ”なんですよ、止まると死んでしまうんです」と笑顔を見せた。


 そして、「忙しいのは嫌ではありません。作品に携われば携わるほど、人との出会いも増えるので、それがモチベーションになっています。人と出会うことが好きなんです」と話す。

 「今、オファーを頂けているのは、ある意味、期待もされているということだと思うので、信じてくれる人に対して期待に応えるというのもモチベーションの一つになっていると思います。新しい監督とご一緒する時に、僕の何を見て呼んでくれたのか、どうしてこの役を自分にと思ってくれたのかは、いつも考えています。若い時は、『いい芝居をしたら勝ちだ』と思っているところがありました。でも今は、もちろんいいパフォーマンスはしたいですが、それだけではないのかなと思うようになりました。そもそも、その良い芝居の定義すら自分の中で曖昧になっていて、答えがない。年齢を重ね、芝居の難しさを改めて感じています」。

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■プロ雀士デビューが転機 50代を迎え「劣化しながら進化する」

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