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羽佐間道夫88歳、今年すでに新録3本 「逆に若手から盗もうと思っている」衰えぬ意欲

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■“米寿イヤー”に新録3本! 衰えぬ意欲「若い人から盗もう盗もうと思ってる」

 今年は3月放送の『ジョーズ2』のロイ・シャイダーを皮切りに、先日関西で放送された『ひまわり』のマルチェロ・マストロヤンニ、そして10月発売の『ジャッカー』で同じくシャイダーの吹き替えを新たに収録している。“米寿イヤー”にふさわしい…どころではない大活躍。88歳とは驚きだ。

 「本当になぜなのか?と思うんですよ。今は声優で上手い人、本当にすげぇなという人がいっぱいいますよ。『ひまわり』なんて、40数年前に録った作品ですよ? それをね、今またどうして僕なの? 若い人に変えたらいいじゃないですか、と思うんです。ソフィア・ローレンは(前回の此島愛子ではなく)勝生真沙子がやりましたけど、30代設定の役をね、80何歳のおじいさんにやらせようなんて、みんな勉強してないんじゃないかって思いますよ(笑)。もう僕じゃなくていいんじゃないの?って思いますけど、作っている側の人たちは年齢が高いから、思い出の『ひまわり』の感動をそのまま再現してほしいんだと、ノスタルジーに駆られてる人が多いんじゃないかと思いますけどね」。

 とはいえ、今回の『ロッキーVSドラゴ』がソフト化される際には、やはりファンは羽佐間の吹き替えを望むだろう。

 「じゃあ、(やらなくていいように)なるべく早く死ぬようにしますよ(笑)。お話は必ず来ると思いますよね。その時に、断るなら断りますし、毅然として断るのか、スケベ心を起こしてもう1回やろうか?という話になるのか……。両脇をね、支えられながらやっとマイクにたどり着いて、『すみません、5分前まで座らせておいてください』って(笑)」。

羽佐間道夫
 『ロッキー4』の吹き替え版でアポロ、ポーリーをそれぞれ担当した内海賢二さん、富田耕生さんもすでに亡くなり、小林清志さんをはじめ、続く声優の訃報に「今はもう私の周りにはほとんど“同胞”がいなくなりました。寂しい限りだと思いますが」と言葉を漏らした羽佐間。だが、その意欲はまったく衰えを感じさせない。

 「年取った人たちは、若い人に優しくないんですよね。若い人に『いいねー』って言ってあげたら、その人はグンって伸びるのに、あいつはヘタクソだ、ふてぶてしいとか言っちゃう。若い人たちと一緒に笑いながら、酒を飲みながらギャーギャー言いながらじゃないと、僕らはステップアップできないと思ってるんです。少なくとも、名を得た名人には、次の世代に優しく芸を渡してやってくださいよと言いたいんです。どうしてこんなにすごいことやれるのかなって感動してしまう若い人はいっぱいいますよ。結局は、自分が感動して初めて自分のものにしていけるわけですから」。

 そして、「こういう(声優の)世界の中で、僕は名前を存じ上げてない人はいっぱいいますけど、向こうは僕のことを知ってるんですよね。ずっと見渡すと、じいっとこちらから何かを盗もう盗もうとしてるんだけど、僕は逆に向こうから盗もう盗もうと思ってる。そういう姿勢なんですよね」と続ける。

 レジェンドと称されつつも、まだ貪欲に成長しようとする姿勢は、「僕の役じゃない」どころか、倒れても倒れても立ち上がってきた不屈のロッキーそのままではないだろうか。(取材・文:村上健一 写真:松林満美)

 映画『ロッキーVSドラゴ:ROCKY IV』は公開中。

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