吉高由里子、女優は「不思議で変な仕事」 一人歩きするイメージに悩んだ時期も
「女優は不思議な仕事」と持論を語った吉高だが、「少し休みたいと思ったこともある」と振り返る。
「朝ドラ『花子とアン』をやろうとしていた頃、テレビに出ている自分の姿やお芝居を見たり、自分の声を聞いたりすることに疲れてしまった時期があって。もともと自信のあるタイプでもないので、朝ドラだって、“私がやっていいのか? もっといい人がいるんじゃないか?”と思うと、苦しくなってしまって。責任を持って、最後まで朝ドラを楽しみながら頑張って、そしたら少し休もうと思っていました」と告白。
そこで事務所から「しばらく休んでいいよ」という言葉をもらい、吉高は約2年の休養期間に入る。その間には、心境にも変化が訪れたという。「26、7歳くらいの働き盛りに“休んでいいよ”と言ってくれる会社なんて、まずないですよね。いい会社だなと思ったし、それでも待ってくれている人がいるなんて、私は本当に幸せ者だなと思いました」と彼女を前進させているのは、周囲への感謝の気持ち。「それからは、以前より仕事のペースを少しゆるやかにして、一つ一つの作品に対してきちんと準備ができるようにして。より深く、思い入れを強くしながら、それぞれのお仕事に取り組めるようになったと思います」と目尻を下げる。
2024年には、NHK大河ドラマ『光る君へ』で主演を務めることも決定している。決定の知らせを聞いた瞬間は、「喜びより、ヤバい!と緊張の方が先行してしまった」とも。
とはいえ「このお仕事は、与えていただけることで挑戦ができるもの。それにプレッシャーを感じるということは、それくらい私はこの作品を大事に思っているということ。そう考えると、プレッシャーも乗り越えられるはず」とプレッシャーも力に変え、「どんな仕事も終わりが見えないうちは苦しいけれど、皆さんと頑張りながら、少しずつ形にしていく過程もとても楽しいです。最終的には“どうにかなる!”という気持ちで一生懸命やること。それしかない」と真っすぐな瞳を見せる。
「これ以上ないというパフォーマンスをしてしまったら、次にどこを目指していいのかきっと分からなくなってしまう。“完璧にできた!”と思えないからこそ、また次に進める。それもこのお仕事の特徴かもしれません」と吉高由里子の可能性はまだまだ無限大。おおらかな笑顔で周囲を包み込み、その場を和やかな雰囲気でいっぱいにしてしまう彼女が、求められ続けるのも大いに納得だ。(取材・文:成田おり枝 写真:上野留加)
M&Oplaysプロデュース『クランク・イン!』は、10月7~30日東京・本多劇場にて上演。11月2日~3日静岡・三島文化会館、11月11日~13日大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、11月19日~20日愛知・ウインクあいちにて上演。