柏原芳恵、出会いに恵まれた42年 中島みゆきとの「春なのに」レコーディング秘話語る
――天皇陛下が浩宮殿下時代に芳恵さんのリサイタルをご鑑賞されたということもありました。
柏原:皇室担当の記者の方から「芳恵ちゃんの写真を部屋にお貼りになってたよ」というお話をお伺いしたのですが、やはり雲の上の方なので、まったく想像できなくて。リサイタルにおいでくださるかもしれないというお話が出て、周りも緊張しますし、その緊張が私にも移ってしまいました。
いらっしゃった時にご挨拶として「“ようこそおいでくださいました。ありがとうございます”ってご挨拶させていただいていいですか?」って聞いたら、「ちょっと待って。宮内庁に問い合わせてみる」と。すると、宮内庁さんからのお返事は「前例がございませんので…」。困ってしまって「じゃ、どうやってお話していいんですか?」と聞くと、「ちょっと待って。宮内庁に…」「前例がございませんので…」の繰り返しで(笑)。
当日は、頭が真っ白になって記憶もあまりないのですが、「今日はどうもありがとう」とおっしゃってくださって、私もどうお返ししたらいいか分からないですから、「ありがとうございます」とお伝えしたことは覚えています(笑)。
あの時に頂いたバラのお花は、お花なのでその美しさは心に残しておこうかという思いもありましたが、周囲の勧めもあって原色ドライフラワーにして、今も大切に保管しています。家宝です(笑)
――11月には2年ぶりのコンサート「A・RU・KU 第二章コンサート2022」が開催されました。久しぶりの有観客でのコンサートはいかがでしたか?
柏原:やっぱりステージに立っていると楽しいし、私はそれだけファンの皆さんからパワーを頂いているんだと改めて実感しました。
ファンの皆さんも声も出せない状況で、“よしえちゃーん!”ってコールもしたいでしょうし、どんな風になるんだろうって思っていたのですが、曲に合わせての手拍子やアンコールの手拍子が熱くなっているのを感じました。みんな大人になったんですね(笑)。また新しい「熱」を感じましたね。
『柏原芳恵の喫茶☆歌謡界』メインビジュアル (C)J:テレ
――1月からは冠番組『柏原芳恵の喫茶☆歌謡界』が始まるなど、新しいことへのチャレンジが続きますね。
柏原:いつもはお話を聞かれる立場なんですけど、MCとしてゲストをお招きしてお話を伺うほうなので、大丈夫なのかなーって。18年やっているラジオでも、時々ゲストに来ていただいても質問するのが下手なんですよね。
でも、先ほど出会いが大事と言いましたが、私を育ててくださったエキスパートな皆さんも、たくさんはしゃべらなくても大事なことをぽんと言ってくださったことが心に残っていまして。それを見習って、今回はチャレンジといいますか、ゲストの方の思いや私の思いを皆様にお伝えできたらいいなと思っています。
――これからも新しい芳恵さんがたくさん見られそうで楽しみです。
柏原:誰かの心に響く、刺さる音楽活動を続けていきたいですね。今まではあまりこういう歌を歌いたいと言えなかったんですけど、最近は作詞も始めて自分の遊び場を頂いたと言いますか。真剣に遊ぶ気持ちで歌に向き合っています。また、歌もそうですし、オブジェを作ったり写真を撮ったり、いろんなことをしているので、気の向くまま全力で楽しんでいきたいと思っています。結果、誰かのほほ笑みにつながったらいいなと。私の目標は“ほほ笑みプレゼンター”なんです。
(取材・文:編集部)
『柏原芳恵 NHKプレミアム コレクション』は、ユニバーサル ミュージックより発売中。価格1万8150円(税込)。
『~A・RU・KU 第二章~ 柏原芳恵コンサート2022』は、歌謡ポップスチャンネルにて2023年1月21日20時放送。
『柏原芳恵の喫茶☆歌謡界』は、J:テレ(J:COMテレビ)にて2023年1月7日22時よりスタート。