『呪術廻戦』中村悠一&子安武人から見た“伏黒甚爾”の存在感 五条悟とのバトルは「もっとやり合いたかった」
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――中村さんは子安さんが甚爾を演じると聞いたとき、どう思いましたか?
中村:子安さんって、絶対折れない声をしているじゃないですか。声質がフラフラしていないんです。
子安:うん。「生命力が強い声」と言われることがよくあります。
中村:子安さんの声って、そうなんです。役者なので芝居を変えることはできますが、声質はその人が持っているものなので、子安さんに決まったと聞いたとき、「なるほど、甚爾の強さの面をピックアップするんだ」と納得がいきました。
人間もそうですが、キャラクターって多面的なので、どの面をピックアップするのかは、声によっても変わると思うんです。例えば甚爾で言えば、陰湿な感じにするというキャスティングの方向もあったかもしれません。そのなかで子安さんが演じるということは、強さに説得力が欲しいんだと感じました。
子安:中村くん、いいこと言うね。
中村:ありがとうございます(笑)。
五条悟 (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
――反対に子安さんは、中村さんが演じる五条のどういうところに魅力を感じていますか?
子安:中村くんのことはよく知っていて、僕のなかではかわいい後輩なんです。五条をどう演じているのかも、もちろん知っていました。ただ、今回の五条は若いというところで、どういう風に来るのかが楽しみで。実際に聞いてみて思ったのは、ちゃんと若いということ。だから、僕も違和感なく物語に接することができました。
中村:高専時代から五条はとんでもなく強く、ある種、根拠のない自信を持っていて、調子に乗っています。ただ、そんな彼の成長や変化を見られるのが、今回のエピソード。その成長分を引いたことが、「若さ」につながったのかもしれないです。
夏油傑 (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
――五条と甚爾に加えて、お2人から名前が挙がった夏油も「懐玉・玉折」の重要な登場人物です。彼についての印象も教えてください。
中村:序盤では五条と夏油がバカなこともしていますが、その後の彼を思うと「五条たちと過ごしているこの時間は何なんだろう」って思っちゃうんです。楽しそうにしていても夏油の心のなかでは、少しずつ何かが溜まっているのかなと。「懐玉・玉折」を踏まえてこれまでの物語を振り返ると、夏油の見え方や、五条とのやり取りも違って見えるんじゃないかな。
――なるほど。
中村:五条って、実は(物事を)深くは考えていないんですよ。高専時代は特に。今回の戦いがあって、夏油との別れがあって、人間的に成長して考えが変わったと思うんですよね。夏油が行き着いた先に対する五条の考えが、彼が虎杖(悠仁)たちに言っていることにつながっているんです。
子安:物語中の重要人物ではありますが、甚爾は夏油のことを「五条と一緒につるんでいる大して強くもねえ小僧」くらいにしか思ってないかもしれないですよね。
――「懐玉・玉折」においては、確かにそういう感情かもしれないですね。
子安:だから僕も、夏油に対して何かの感情を心に住まわせないようにしていました。目の前にある出っ張った石ころを蹴とばしてやろう、くらいの気持ちでしたね。