永野芽郁、『御手洗家、炎上する』で見せる緻密な演技力 「1つのセリフもト書きもこぼしてはいけない」
――本作のキーパーソンである真希子を演じる鈴木京香さんには、どのような印象を持たれましたか?
永野:ふだんはとても穏やかな方なのですが、カメラが回った瞬間、目の光の入り方が一気に変わるんです。こんな一瞬で真希子になれるのかと驚きました。目が合うと吸い込まれちゃいそうで、杏子としても私としても恐怖を感じながら、真希子と対峙していましたね。
Netflixシリーズ『御手洗家、炎上する』より
――改めて、真希子への印象を教えてください。
永野:彼女は一番欲求に真っすぐな人だと感じていて。私はこの作品のなかで“悪人”は出てこないと思っているんです。考えていることが理解できないということはあれども、その人はその人なりに誰かを守ろうとしていたり、自分の地位を確立するために行動していたりするんです。そういう意味では、みんなそれぞれの欲求に真っすぐ生きている人たちが集まったドラマだと感じました。その先頭を走っているのが真希子。京香さんが真希子として暴れれば暴れるほど、このドラマが濃くなっていくという印象がありました。
――個人的には、及川光博さん演じる治に「もうちょっと頑張れよ…」と思う部分もありました。
永野:ね(笑)! お父さん、結構“クセあり”ですよね。離婚した経緯なども踏まえると確かに娘たちに会いづらかったんでしょうけど、でも13年も会ってくれないなんて!
――彼もある意味、自分の欲求に真っすぐ生きている人間かもしれませんね。
永野:自分を守る術を知っている人ですよね。でも、それを子どもに向けなくてもよくないですか!? あんなお父さん、私はやだ(笑)。
Netflixシリーズ『御手洗家、炎上する』より
――素直な感想、ありがとうございます(笑)。現場はどんな雰囲気でしたか?
永野:共演者の方と「次のシーンはこれだよね」「お昼ご飯何を食べた?」などの会話をするなど、穏やかな雰囲気でした。ただ、今回は1つのセリフもト書きもこぼしてはいけないと思って臨んでいたので、監督とディスカッションして、杏子について考える時間の方が多かったんです。これだけ台本と過ごした作品もなかなか無い気がします。
――インタビューの冒頭では「今までにない頭の使い方をした」ともお話されていましたね。
永野:もちろん、どんな役でも頭は使うし、台本も読み込みます。ただ、この現場はすごく緻密に色々なことが進んでいたので、何か間違えていないか、取りこぼしていないか特に気にする瞬間が多かったですね。