明石家さんま&松尾貴史、40年の付き合いの2人 舞台に向き合う姿勢は同じ「初日に間に合えばいい」
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――舞台のリリースでのコピーには「おしゃべり怪獣が10人の声を聞き分ける」とあります。
さんま:それはプリントミスかもわかりませんけども。そこまでではないけど、人よりはちょっとしたことは聞き分けられるのかな。聞き分けるというよりは次の展開を考えてるのかな。
松尾:聞き分けるというよりは聞き逃さない。
さんま:せやな、10人のミスを聞き逃さない! 仕事上ではそうかもわかりませんね。
松尾:ちょっとしたことを時間差でツッコんでこられるのは、油断も隙もないというかね。あ、あのときのあれ、間違ってたんやということを時間差で気付かされるという、そういう恐怖はあります。
さんま:コソコソしゃべってるのを、(松尾が)全部聞いてることもあります。
松尾:ホン読みしているのに、おしゃべりがみんな入ってくるから、全然集中できないんですよ(笑)。
――水田さんはどう見ていらっしゃいますか?
水田:全員がこの感じなので、芝居の稽古なのか雑談の会なのか、境目がないところが特徴なのかなと思っています。
さんま:もちろんちょっとはあて書きのところもあるんでしょうけども、それぞれ役者さん、お笑い芸人で、いろいろ作り方もあるので。でも、俺が出るからには、そこをさんま流と言ってもらうように、合わせていただきたいというだけですね。そのために俺がやるのは緊張の緩和だけです。
――ストーリー的な見どころは?
さんま:史料が残っていない時代のもので、どういう名前の少年がいたとかどういう生き物が存在したとかもほんとのところはわからないので、入れてもええかなと。あとは言葉を、お客様がどれだけわかるのか。たとえば神の馬を神馬(しんめ)って言うんですけど、それを『しんめ』言うてみんな聞いてわかるもんかなと、イメージ的に考えていくんです。そういうことをみんなで苦労して考えてます。監督との打ち合わせでも、『戦争ないんですよ、(戦争)入れましょうか?』とか、そんな簡単なノリで進んでいったんですよ。本当なのか嘘なのかというところを本当ですというような伝え方をする流れになっていますから、そういうセリフ作りに苦労してます。
――松尾さんが脚本を読まれた印象はいかがでしたか。
松尾:これ(脚本のセリフ)がみんなの口から声として出たときにどういうムードになるのかなと想像してみて、権力闘争みたいなものが物語の軸になるであろうと思い、それを生身の役者たちがどう作り上げていくかというところは楽しみではありました。あとは、当時どうだったかということに関していえば、誰も知らんから、見ているお客さんが物語を楽しむことに差し障りがない程度に、違和感を最小限にするということも大事かなと思いました。
水田:結局、人間ってそんなに進歩してないんだなってところは悲しいですよね。今も地球上で大きな戦争が2つ行われています。「日本書紀」に書かれているこの時代も、暗殺の歴史なんですよね。それを楽しい舞台として見ていただいて大笑いして、最後にこれから先、地球はどうしていくべきかなと、ちょっとだけ皆さんが持ち帰ってくださればな、と思っています。
さんま:(水田は)こんなこと言うんですよ。そんな気持ちは、主役は全くもってないです。