鞘師里保、地上波連ドラ初主演 アーティスト、俳優としての「挑戦」を糧に目指す先とは
――2023年は、連ドラ初主演作『めんつゆひとり飯』(BS松竹東急)と地上波連ドラ初主演作『推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~』で2度、主演としての撮影現場を経験しました。
鞘師:本格的に映像での演技をやることになって3年ほどで、主演のお話を頂けたのは純粋にありがたかったです。「もっと頑張りたい」と目標にできるチャンスになったし、着実に「自分のものにできるように」と一生懸命になれた1年でした。
――初主演作での経験は、2度目の本作でも生きていますか?
鞘師:初主演作では「座長」であり「リーダー」のイメージもあるので、プレッシャーも感じていたんです。「どんなリーダーになればいいのか」と思っていたんですけど、場を仕切るのではなく「自分らしい空気づくりができるかも」と気がついたのは、成長でした。クランクアップの頃には「家族のようになれれば」と思って、本作でも共演者の方々やスタッフさんとそれぞれコミュニケーションを取り、毎日、誰かを「笑顔にできれば」と思って撮影しています。
ドラマ『推しを召し上がれ~広報ガールのまろやかな日々~』場面写真 (C)テレビ東京
――共演者やスタッフとの距離を縮めるため、何か具体的な工夫も?
鞘師:冬の撮影で外でのロケも多いので、自作イラストをあしらったネックウォーマーを撮影現場で配りました。原作小説の表紙にある「ブルガリア菌」と「サーモフィルス菌」のイラストをモチーフに、劇中で“乳酸菌(ブルガリア菌20388株)”を演じていらっしゃる橋本(さとし)さんの髪型や衣装を加筆して。撮影現場で使っていない方がいらっしゃったら寂しいので「なぜ、使ってないんですか?」と一声かけたいです(笑)。
――(笑)。2度のドラマ主演も経て、俳優としての成長もありそうです。
鞘師:演技への取り組み方が変わってきました。基本的に音楽でやってきたので、以前は「新しい世界にお邪魔します」という思いで、頑張っていたんです。でも最近は、演技に関して、少しずつではありますが、感覚的につかめてきましたし、自分でも成長を感じます。
――自覚する変化とは?
鞘師:以前は、脚本を読みながら演じる人が「こうしゃべるんじゃないか」と想像して、そこをゴールにして本番に備えて準備していたんです。でも今は、物語の肝を捉えて、演じる人の人柄や性格を「自分の中に落とし込もう」と意識が変わりました。外から分かるセリフだけではなく、内面から演じるというか。与えられた役柄の根源のようなものを詰めていくのはまったく違う感覚で、誰かを演じるのがより楽しくなりました。