山崎賢人、『陰陽師0』VFXシーン挑戦で感じた面白さ「俳優業もみんなで『呪(しゅ)』にかかっているようなもの」
「博雅とのやりとりが、見ていて『いいな』と思ってもらえるようなバディになれたらいいなと思って演じていました」とも明かした山崎。その言葉通り、最悪な出会いから衝突を繰り返しつつも、お互いを認め合い、唯一無二の結びつきとなる晴明と博雅のバディ感はエモさと羨ましささえ感じるものに映った。
共演の染谷とは3度目の共演ということもあり、今回の関係を作り上げるにあたり、特別な話し合いなどはしなかったそう。「染谷君も変に繕ったり、嘘の感情でコミュニケーションを取る人じゃないので、すごく2人で自然でいられたというのがそのまま出てたかなと思います。バディ感は2人で生み出すものなので、乗馬の練習も一緒にたくさん経てから現場に入りましたし、ワークショップみたいな感じで晴明と博雅の役を入れ替えてやってみたり、そういう準備期間がたくさんあったのもよかったです。そんな中でコミュニケーションを取れたので、あとは自然になんということのない話をして過ごしていました。晴明と博雅が2人でお酒を飲んでいるシーンとかには、染谷君と過ごした時間の空気感が自然に出ているんじゃないかなと思います。僕と染谷君は、方向や空気感が似た感じなのかなと思うんですよね」。
映画『陰陽師0』場面写真 (C)2024映画「陰陽師0」製作委員会
本作は、圧倒的なVFX表現も見どころのひとつだ。完成した映像を見て山崎は「素直にすごいなぁと思いました。現場では想像でしかなかったものが、あれだけリアルに表現されていて、自分から龍が出た時はテンションが上がりましたね(笑)。水の龍出したわ~ってすごくうれしかったです」と気持ちが躍ったそう。
劇中、陰陽師が修める学問の1つである「呪(しゅ)」は、意識に作用を及ぼすことで肉体にも影響を与える“暗示”や“催眠術”“思い込み”のようなものとして描かれるが、「VFXシーンで演じる時は、自分で自身に呪をかけている感じですね。自分から龍が出ていると思ったり、ケガをするシーンでは本当に痛いと思ったり、『俳優業って呪をかけてるよね』って現場でも染谷君や嗣麻子さんと話していました。集団で呪にかかって作品を作っているから、みんなで同じものが見えているんだという話がとても面白かったです」と楽しそうに振り返る。
これまでさまざまな作品でパワフルでダイナミックなアクションを魅せてきた山崎だが、本作でも華麗なアクションを披露している。平安時代の狩衣姿でのアクションはこれまでとは違う難しさもあったのではないだろうか?「袖や袴の裾を踏んじゃったり、烏帽子が高いので頭をぶつけたり大変でした。でも、いなすアクションというか、誰も倒さず傷つけず逃げていく。そんな晴明っぽい無重力感というか、人間業じゃないような動きを晴明のアクションという形で表現できたのはすごく楽しかったです」と笑顔。「呪文や印のシーンも、手の形や位置、体の形など細かいところで意識することが多かったです。美しく見えるように正しい姿勢で演じていくというのを体に染み込ませるのは大変でしたね」と語るが、出来栄えには自信を見せる。
数々の難問をクリアし、山崎が作り上げた晴明をもっと見てみたい。染谷演じる博雅とのコンビももっと見てみたい。そう思い、続編への期待を伝えると、「そうですね、やりたいですね」ときっぱり。「いろんなことが起きても、晴明と博雅だったら解決できるなって思うようないいバディだと思うので、新たな問題が起きた時に、この2人がどう解決していくんだろうというのはすごく楽しみです」。(取材・文:近藤タイスケ 写真:高野広美)
映画『陰陽師0』は、4月19日より全国公開。
※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記