舘ひろし&柴田恭兵&浅野温子&仲村トオル、準備なしでもあの頃に戻れる!『あぶない刑事』38年で築いた信頼関係
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(左から)浅野温子、舘ひろし、柴田恭兵、仲村トオル
――ファンならば、興奮&悶絶するような場面の連続となっています。ご自身も、これぞ『あぶない刑事』だとワクワクしたようなシーンはありますか?
柴田:僕はラストの「イッツショータイム!」ですね。舘さんがハーレーに乗って、スモークの中から現れるシーン。今回の舘さんのバイクアクションは、今までの中でも最高にカッコよかった!
舘:あれは、僕から監督へのリクエストだったんです。煙の中から出てくるって、なんだかロマンティックだなと思って。
浅野:やっぱりたっちゃんがハーレーに乗って、恭兵ちゃんが走っているのを、ファンの方は一番見たいんだと思うんです。やっぱりみんなが大拍手をするのは、たっちゃんと恭兵ちゃんが変わらずに走り続けてくれていること。そんなたっちゃんと恭兵ちゃんに最新作でも出会えるのが、最高のプレゼントだと思います。
仲村:誰かが言っていたんですが、昭和、平成、令和と3つの時代をまたいで、アニメーション以外で映画のメインのキャラクターを演じ続けているのは、ゴジラと仮面ライダーとタカとユージだけだそうです。そろそろタカとユージは、人間ではなくなる。
舘&柴田&浅野:あはは!
仲村:これほど激しくいろいろなものが変化した38年間で、変わらないカッコよさを見せられることこそ、この作品の最大の魅力だと思っています。
舘ひろし
――ドラマ放映から38年経ってもなお、ファンから歓喜と共に迎えられるシリーズです。本シリーズはご自身にとって、どのような作品になっていますか。
舘:俳優にとって代表作があるか、ないかというのは、すごく大事なことで。『あぶない刑事』は、間違いなく僕の代表作になっています。そういった意味では、僕は『あぶない刑事』という作品に携われたことは、とても幸運だったなと思っています。
柴田:『あぶない刑事』がヒットすればするほど、「もっと違う作品を作りたいな」「『あぶない刑事』を超えたい」とムキになってやっていたようなところもありました。でも『あぶない刑事』があるからこそ、もっとシリアスな作品に出会うこともできたし、「超える、超えないではないんだ」と気づき、どんどん次の作品、次の作品とやっていくうちにあっという間に70代に足を踏み入れていて。『あぶない刑事』があるからこそ自分が思っている以上に長く、刺激的な俳優人生を送らせてもらえた、とても大事な作品です。
――そう思える作品を、舘さん、柴田さんと一緒に作れたことをどのように感じていますか。
舘:奇跡でしょうね。恭サマ以外では、タカ&ユージは成立しなかったと思います。
柴田:それは僕もまったく同じ意見です。舘さん以外の役者さんだったら、絶対に成立しなかった。僕は出会った時にすぐ、舘さんご本人が気づいていないようなチャーミングさやナイーブさ、やさしさをものすごく感じたんです。僕が突いたら「よせよ」なんていう、チャーミングな部分を見せてくれたらものすごくステキだなと思った。また舘さんはラグビー部でキャプテンをやっていらっしゃったので、みんなをまとめる力がすごい。根っこの太い樹としてドーンといてくれるので、僕は好きなようにやることができたんです。僕にとっても、本当にステキな出会いをさせていただきました。
映画『帰ってきた あぶない刑事』場面写真(C)2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会
――本作における薫の登場シーンも最高です。薫ほど爆発力のあるキャラクターに出会うことも、なかなかないかもしれません。
浅野:ね!(笑) 歴代の監督たちが「いいよ、いいよ」と言ってくださって、いろいろなことをやらせていただきました。他のドラマでは、許してくれないようなことばかりですね。刑事部屋で育ててもらって、みんなと30年以上ずっと一緒にやってくることができた。恭兵ちゃんと一緒で、「『あぶない刑事』もいいけれど、それを超えられたらうれしい」と思いながらやってきたようなところもありましたが、結局『あぶない刑事』に戻ってきてしまうんですね。年齢を重ねてみると、それってものすごく幸せでありがたいことだなと思って。いつまでも「薫役は浅野だ」と替えがきかないものとして選んでくださって、薫を唯一無二のものとして捉えてもらえる。それは本当にうれしいことだなと感じています。
舘:僕はね、他の作品をオンコ(浅野)とやったこともありますが、やっぱりなんだか特別なんだよね。
浅野:ええー! シリアスな作品をやっても!?
舘:そうなんだよ。なぜだか、他の女優さんとオンコは違うんだよね。それはトオルも同じで、他の作品で共演してもやっぱり特別なんだよ。
仲村:僕は昔から、『あぶない刑事』は俳優として、もはや人間としての「故郷」だと思っています。『あぶない刑事』のテレビシリーズの撮影が始まったのは、38年前、昭和61年の夏でしたが、その前年の夏、僕は普通の大学生としてアルバイトをしていました。そんなまだ俳優として0歳児のような状態で入った現場で、何から何まで教えていただいて、守ってもらって、甘やかしてもらって、育ててもらって。今、自分は何を心の支えとして戦っているんだろうと思うと、すべて『あぶない刑事』の現場で教わったことばかりだなと気づく。そういった、僕にとってはまさに「故郷」のような存在です。
――いつでも帰ってきてほしいシリーズです。さらなる続編は考えられそうでしょうか。
舘:いまはまったく考えられないね(笑)。
柴田:まあ舘さんが「全員集合!」と言ったら、全員集合しますよ。
(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)
映画『帰ってきた あぶない刑事』は5月24日より公開。