雨宮天&伊藤美来が語る、劇場アニメ『がんばっていきまっしょい』が映し出すリアルな青春
関連 :
――作中には「一艇(いってい)ありて一人(いちにん)なし」(ボート競技はどんなに苦しくても動きを一つにし、心を一つにしないと進まない)というボート用語が出てきますが、ご自身の中でこれに近いと思う経験はありますか?
雨宮:お芝居って、それに近いところがあると思います。自分が投げかけたセリフに相手が反応してくれないと、掛け合いがうまくいかなくなってしまうんです。見ている方がそこまで細かく気づくかは分からないんですけど、演じている側としては、テンポ感やセリフのキャッチボールがすごく大切だと感じています。
新人の頃は自分も相手の会話を聞く余裕がなく、家で練習してきたものをそのままやっていたのですが、それだと会話のテンポが気持ちよくならないことに気がついて。たとえば、2人で会話しているのに一方が遠くから話しかけ、もう一方がささやくように話すとおかしいですよね。そういう”あべこべ感”があると、やっぱりうまくいかないんです。
――お芝居もコミュニケーションですからね。
伊藤:私もそう思います。アフレコ現場でもそうですが、とくに朗読劇などでは一層感じますね。ステージの上での掛け合いはより生物感があって、照明や音響も含めて全てが息を合わせないと進まないんです。SEの後にセリフを言うタイミングや、お客さんの笑いを待つタイミングなど、全てが板の上で一体になるような感覚になります。
雨宮:たしかに。技をセリフで出しているのにSEが出ないと、「いつ発動するのかな……」ってなるよね(笑)。
伊藤:「しかし、なにもおこらなかった……」みたいな(笑)。
(左から)雨宮天、伊藤美来
――そうしたお話を聞くと、本当に総合芸術だなと思いますね。最後に、映画の公開を楽しみにされているみなさんへメッセージをお願いします。
雨宮:まずは美しい絵に圧倒されると思います。カメラワークも非常に凝っていて、広がる景色やボートに乗っているときの海の風景など、臨場感がとにかくすごいんです。そして、その先に描かれるキャラクターたちの心理描写もとても繊細で、胸の深い部分にグッと刺さるような共感できる部分がたくさんあると思いますので、ぜひ劇場でその両方に没入しながらお楽しみください!
雨宮天
伊藤:『がんばっていきまっしょい』は、昔から多くの人に愛され続けてきた作品で、今回の劇場アニメでもその魅力がしっかりと受け継がれています。原作をご存知の方には、懐かしさと新しさを感じていただけるリメイクになっていますし、初めてこの作品に触れる方も、彼女たちの青春の輝きや一生懸命な姿にきっと共感できると思います。劇場で見ることで、音や映像がより一層心に響いてくるので、ぜひ足を運んで楽しんでいただければと思います。
伊藤美来
(取材・文・写真:吉野庫之介)
劇場アニメーション『がんばっていきまっしょい』は、10月25日より全国公開。