菜々緒、俳優業に行き詰まった時期も 人生を楽に生きるヒントは「流れに身を任せること」
鷹野について「自分に対して嘘がなく、とにかく自分自身を信じている人。どんな状況、どんな人に対してもフラットで、鷹野は外の世界にまったく影響されない。ただただ自分らしく、ありのままの自分を表現して生きているところがものすごく魅力的」とダメな自分も受け入れて、それを隠すことなく堂々と生きている人だと分析した菜々緒。
『無能の鷹』場面写真 (C)テレビ朝日
そんな鷹野を演じることに、「使命を感じている」とまっすぐな瞳で明かす。彼女は「昨年、ちょっと自分自身が苦しくなってしまった時期があった」と話していて、そんな時に舞い込んだのが本作のオファーだったと言うのだ。
「このお仕事をしていると、周りには才能があって、有能な人ばかり。そんな中で私は、しがみつくようにして、何とか今までやってきたという感覚が強くて。ちゃんとしなきゃ、うまくやらなきゃ、できることを全力でやらなきゃ…といつも背伸びをしているようなところがありました」と告白。
「もちろん今の自分は、“やりたいことを突き詰めたい”と上を目指していくような姿勢で築き上げてきたものだと思いますが、年齢を重ねて30代も半ばになってくると、体力的にも20代の頃と同じようには仕事ができなくなっている自分にも直面して、行き詰まってしまった時期がありました」とストイックな向上心を持って突き進んできたが、トンネルに迷い込んでしまったと振り返る。
『無能の鷹』場面写真 (C)テレビ朝日
「そこでまとまったお休みをいただいて、自分と向き合う時間を作り、自分をじっくり見つめ直してみたんです」。ひと休みしながら立ち止まって気づいたのは、「自分に厳しすぎたのかもしれない」ということだった。
「こうしなければいけない、こうであるべきだと決めつけてしまっているのは結局、自分なんですよね。自分で自分の首を絞めてしまっているんだな、完璧主義な自分を捨てた方がいいんだと気づいて。ダメな自分が許せないという気持ちが強かったけれど、ダメな部分を知ることは、きっと不得意なこと、苦手なことに気づくきっかけなんだと考え方を変えてみたら、ふっと心が楽になって。ダメな自分も受け止めてみようと思えてきたタイミングで、本作のオファーをいただいた」と運命的な出会いだったとしみじみ。
『無能の鷹』場面写真 (C)テレビ朝日
「鷹野って、ダメな自分のことを何とも思っていないんです。『頑張らなくても大丈夫』、『できなくても大丈夫』という生き方を体現しているようなキャラクターで、人生のお手本にしたいような人です。原作を読んだ時には、自分自身も“鷹野のようになりなさい”と言われているような気がしました」。
「今の時代、どうしても人と比べてしまう機会も多く、そのことによって落ち込んだり、真面目すぎるからこそ“もっと頑張らなければ”と息苦しさを感じてしまったりしている人も多いように思います。私自身、ダメな自分も受け入れる鷹野のすごさを実感している今、このタイミングで本作をお届けできるということに、使命のようなものを感じています」。