平野綾、胸にあふれる『ベルばら』愛 現地を訪れマリー・アントワネットの孤独を体感
劇場アニメ『ベルサイユのばら』場面写真 (C)池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会
平野の“『ベルばら』愛”は聞けば聞くほど本物で、「2019年には、プライベートでベルサイユ宮殿に行きました」とにっこり。「宮殿内をカートでまわれるんですが、その風景を今でも鮮明に覚えています」と濃厚な思い出になっているというが、完成した本編を観て「私が実際に目にしたベルサイユ宮殿、そのままの風景が広がっていました。こんな絵が描けるなんてと思うくらい、リアルでした」と制作陣が時代考証を重ねて取り組んだ背景にも惚れ惚れとし、「吉村愛監督をはじめ、今回のスタッフさんは女性が多く、さらに『ベルサイユのばら』が大好きな方ばかり。現場では、『ベルサイユのばら』に関する“あるある話”がよく繰り広げられていました。みんなが愛を全面に打ち出しているような作品に携われて、ものすごく幸せです」と“『ベルばら』ファン”としても、信頼できるスタッフが揃っていたと声を弾ませる。
実在の人物を演じる時には、いつも「その人に関係している場所に行くようにしている」と役作りにおける裏話を打ち明けた平野。演じるキャラクターが実際にいた場所の空気を感じることは貴重な体験になるそうで、「今回はベルサイユ宮殿を訪れていたことが、アントワネットを演じる上でもとても大切な経験になりました。アントワネットと言えば、ドレスを着てきらびやかな生活をしていたイメージが強いですが、ベルサイユ宮殿に行ってみると、彼女が子どもたちに農作業や家畜の世話などを教えていたこともよくわかります。また鏡の間など豪華な部屋がある一方、静けさを感じるような空間もあって。14歳という年齢でオーストリアから嫁ぎ、誰が味方かもわからない状態で地位を確立し、子どもを産み、育てるという中では、孤独との戦いがあったのだろうなということが肌で感じられるようでした」と語る。
「常に『どこか寂しい』という感情を持ちながら演じようと思っていました」とアントワネットの内面を掘り下げた平野は、可憐な14歳から、意志と愛を貫く気高さを持った大人の女性へと変化を遂げていくアントワネットの生き様を表現している。「時代が流れる中で、アントワネットの孤独が進行していきます。映画では、そのすべてが描かれるわけではありません。だからこそ映画を観る方にとって、声からもアントワネットがどのような経験をしてきたのか、想像できるようなお芝居ができればと思っていました」とアントワネットが積み重ねた時間や孤独まで、丁寧なアプローチを試みたという。